おもしろ洋裁用語

こんばんは~(^○^)

前回の投稿の中で「『ステッチ』をプロは『たたき』と言う」という事を書きました。
考えてみれば、洋裁用語ってへんな言葉が多いな~って思います。
それで、今回はちょっと変わった洋裁用語を私なりにチョイスしてご紹介してみようと思います(*^-^*)

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「はぐ」

これは基本中の基本です。
漢字で書くと「接ぐ」。
布と布をつなぎ合わせるために縫う事を言います。
普通は生地どうしを中表に合わせて開く事でミシン目は表に見えません。
これに対して前回でも触れましたが表にミシン目が見えるような場合を「ステッチ(タタキ)」と言います。

意外とこの「接ぐ」、読めない方が多いんですよね~。
「つぐ」と読む方が多いんです。
もちろん「つぐ」という読み方もありますが、洋裁では「はぐ」です。

 

「わな」

獲物を捕獲するための道具・・・ではありません(^▽^;)
漢字では「輪奈」と書きますが、一文字の「輪」と同じ意味です。
身頃の後中心など左右対称のパーツを裁断する場合、切り替えて2枚を接ぎ合わせたりせず、中心を「輪(わ)」で裁つ場合がありますよね?
そういう場合を「わなだち」と言ったりします。

ちなみに「タオル地」の事を「輪奈織(わなおり)」と言うそうです。
織り糸がループ状になっている事から、そう呼ばれているのですが、なんだか「タオル」と言うより高級感があっていいですよね(^^)

 

「毛抜き」

前端や衿ぐりに「見返し」を付ける場合など、普通は見返しを身頃より1mmぐらい控えてアイロンします。
表から見返しがふき出して見えないためです。
それに対して、リバーシブルなどのように裏を表にして着る事がある場合は、裏と表を突き合わせにしてアイロンします。
この事を「毛抜き合わせ」といったりします。
なぜ「毛抜き」なのかと言うと、文字通り「毛を抜く道具」である「毛抜き」が由来です。
先が「ぴったりと合う」事から、洋裁用語として使われているそうです。

それにしても「毛抜き」ってねぇ・・・
他に例える物がなかったのかしら^^;

 

「イッテコイ」

これはブラウスなどの袖口の「あき」部分を簡単にパイピングで始末する事を言います。

逆「Uの字」に「行って帰る」事からこう呼ばれています。
今だったら「Uターン」とか呼びたいところですけどね^^;

 

「剣ボロ」

これは「イッテコイ」と同じように袖口のあき始末の一種ですが、メンズのワイシャツなどに使われる方法です。

これは切り込みの「ボロ」を隠すための短冊布(たんざくぬの)の形状が「剣」のように先が尖っている事からこう呼ばれています。
由来は想像通りですが、なんだかおしゃれなネーミングですよね~♪

 

「くせとり」

これは平らな布をアイロンで伸ばして立体的にくせ付けをする事を言います。
くせを付けるのに『くせ取り』とはこれ如何に・・・??

昔はウールを使う事が多かったので、このようなアイロン技法が多用されました。
切り替えたり、ダーツを使ったりせずにアイロンだけで布を自在に変化させるこの技法。
職人さんの腕の見せ所でもあったわけですが、最近はこういったアイロン技法が適さない化繊が主流になり、効率的で画一的なクオリティーが求められる既製服ではこういった技法はほとんど使われる事がありません。

余談になりますが、私が「バイブル」と呼んでいる洋裁本があります。

大石真一著「洋裁の実技全書」文化出版局

これは初版が1974年ですから、相当昔に書かれているのですが、オーダーメイド職人の魂が込められた珠玉の一冊です。
この本に、この「くせとり」技法が写真付きで解説されているのですが、その完成度の高さに驚かされます。
「くせとり」だけであれだけなめらかで立体的なフォルムになるなんて、本当に感動します。
手っ取り早い実用書ではありませんので勉強中の皆さんにはおすすめしませんが、上級者の方には一度は手にして頂きたい一冊です。

 

「殺す」

きゃーっ!!

物騒な言葉ですが、これは袖山の「いせ込み」をアイロンでつぶす作業の時に「いせを殺す」と言います。
ドレッシーなお袖にはたいてい「いせ分」が含まれています。
袖付けした後、ミシン目の上から袖山のでこぼこをならすようにアイロンをかけると、ふんわりと自然な肩山になるのです。

 

「どんでん」

総裏付きのジャケットなどは裏地の裾と表地の裾は袋状に縫い合わされています。

裏付きの袋物を縫う時と同じように、裾の一部を縫い残して、そこから表に返すのですが、この事を「どんでん返し」と言うのです。

ちなみに洋裁で「どんでん」の反対は「ふらし」と言います。
裏付きのスカートなどのように、表裏の裾が縫い合わされず、別々に始末されている物をそう言います。

 

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おもしろ洋裁用語、いかがでしたでしょうか?

もともとは職人さんたちの間で慣用語として使われていたものなのだと思いますが、意外と単純な由来だったりして、ちょっと笑えるのもありますね(^○^)

今日ご紹介した以外にも専門用語がたくさんあります。
服飾辞典のような本もありますので、ご興味のある方はお読みになってみてください。

 

ではまた(@^^)/~~~

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