シャツの抜き襟ってどうなの?

こんばんはー(^^)

最近の服って、ルーズなシルエットが多いですよね?
身体にフィットさせないような、全体的なダフっとした感じというか。
トップスもボトムスもワイドでロングなデザインの物をショップでも、街中でも良く見かけます。

過去のファッション史を振り返ってみても、こういったルーズなシルエットが流行る時というのは、人々が世の中に何かしら閉塞感を感じている時だ、という説があります。
まさに今はコロナ禍。私たちは不安を抱え、行動の自由を奪われ、せめてファッションだけでも解放感を求めているのかもしれません。

ところで、数年前から見かけるようになった、シャツブラウスの「抜き襟」。
ご存じでしょうか?

わざとシャツの後首あたりを後に引っ張って、着物の後ろ姿のようにうなじを見せる着こなし方です。
後ろ姿が色っぽいとか、着崩した感じが「こなれている」とか。

これってどうなんでしょうか?
私には良くわかりません。
私くらいの年代の人の多くは「だらしない」と思ってしまうのではないでしょうか。
だいたい、これでは肩線が体に沿ってないので、着ている本人が着心地悪いだろうと思ってしまいます。

そもそも着物は構造が違うのです。
着物の衿あきはだいたい約10cm。洋裁で言うところの「天幅」がもともと広いのです。
そこに直線の衿を付けるのですから、大なり小なり後首と衿の間に隙間が出来るのは当たり前。
それに、多少抜き襟気味に着たとしても、帯できちんと固定されていますから、だらしない感じは微塵もありません。
これをシャツで真似しよう、というのはそもそも無理がありますよね。

先日も近所で目撃しました。
ゆったりガウチョパンツに丈の長いルーズな感じのシャツ。
シャツの裾はフロントイン。
そして抜き襟。。。
申し訳ないですが、「着崩す」ではなく、「着崩れてしまった」風にしか見えません。

そういえば、この抜き襟が流行り始めた2年くらい前。
パターンを習いに来ている生徒さんに「抜き襟のシャツを作りたいんですが、どうやって製図したらいいですか?」と尋ねられました。
本来の抜き襟はごく普通のシャツを単に着崩すだけなのですが、この生徒さんは着崩さず、抜き襟風のデザインにしたかったようです。
まあ、そういう事ならわかります。
そのように設計された服なら、素敵かどうかは別としても、だらしない感じにはならないでしょうから。

服をどんな風に着るか、という事は一種の自己表現ですよね。
服装でその人の好みや人柄を想像する、という事も日常的に良くあることです。
「人は見た目が9割」という本が以前ベストセラーにもなりました。
他人を意識しすぎる必要はありませんが、客観的に自分を見る事も時には必要なのではないでしょうか。

そういう意味で洋裁の出来る私たちは、「自分の好きなように装う事が出来る」という武器を持っています。
既製服を真似たり、流行りのスタイルにしなくても、個性を表現する方法は無限にあります。
せっかく手作りするのですから、「これが私です♪」って胸を張って言えるような、自分らしい服作りを目指しましょう!

そのためのお手伝いが出来るよう、これからも洋裁のあれこれをお伝えしていきたいと思っております♪

それではまた~(^O^)/

 

#シャツの抜き襟 

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