夏に涼しい生地とは?

こんばんは~(^^)

ここのところ線状降水帯の影響で、大雨の被害が広がっていますね。
被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。

東京も梅雨が明け間近という事ですが、毎日蒸し暑い日が続いています。
これから夏本番を迎えますが、少しでも快適に過ごすためにも、服の素材選びには気を配りたいところですね。

皆さんが夏向きの衣服素材、と言って思いつくのはどんな物でしょうか?
おそらく木綿や麻、といった天然繊維ではないでしょうか。

植物のセルロースを原料にしている天然繊維は総じて吸水性や吸湿性が高いです。
木綿や麻がその代表格ですが、汗をすばやく吸い取ってくれるため、夏の衣料に良く使われていますね。

ではこの二つの素材にはどのような特性の違いがあるでしょうか。

吸湿性は木綿よりも麻の方が勝ります。
また、吸い取った水分を放出するのも麻の方が早いので、汗による気化熱効果も期待できます。
逆に、木綿は保温性が高い素材ですので、体の熱を下げる効果は麻の方に分がありそうですね。

一方、麻は繊維が硬いので、着心地という点では木綿の方が肌に優しい素材だと言えます。
肌着などによく使われている事からもわかりますね。

 

ところで、植物セルロースを原料にしている素材は木綿や麻だけではありません。
「植物系再生繊維」と呼ばれている物はセルロースを化学薬品で溶かし、人工的に紡糸した繊維です。
こちらも天然繊維の特性を備えていますので、汗対策には適している素材だと言えます。

再生繊維、と言っても馴染みの無い方もいらっしゃると思いますので、簡単にご説明しますね。

 

再生繊維の紡糸には大きく分けて2つの方法があります。

溶かしたセルロースを細いノズルから凝固液の中に押し出して繊維にする湿式紡糸法と、熱によって溶液を蒸発させて作る乾式紡糸法です。
なんだかちょっと想像しにくいですが、糸こんにゃくとか、ビーフンを作るような感じなのでしょうか?・・・←ちがいますね(;^ω^)

原料にしている植物の種類もさまざまです。
木材パルプを原料にしている物にはレーヨン(別名ビスコース)、ポリノジックなどがあります。
ポリノジックはレーヨンのシワになりやすさや強度の低さを高分子レベルで改良した製品です。
木材パルプの中でもユーカリの木材を原料としているのがテンセルリヨセル)です。
比較的高価なイメージのある生地だとは思っていましたが、ユーカリ限定だとしたら納得ですね。

裏地に使われる事の多いキュプラはコットン・リンターを原料としています。
コットン・リンターとは綿花の種子に生えている短い繊維で、木綿を作る際に後に残る部分を利用しています。
キュプラといえば旭化成のベンベルグ裏地が有名ですが、元はドイツのベンベルグ社で商品化された物を、旭化成が技術導入して生産・販売しているのです。
レーヨンより細くしなやかで、強度、吸水性もあり、土に埋めても分解されて土に還る、というとても優れた生地です。
裏地だけに使うのはもったいないですよね?

アセテートトリアセテートは植物セルロースと酢酸を化学的に反応・合成して作られるため、「半合成繊維」と呼ばれています。
トリアセテートはシワになりにくく、さらりとした風合いがあり、夏衣料に使われる事が多い繊維です。
名前を聞いただけでは化繊だと思って敬遠してしまうかもしれませんが、このような特性も覚えておくと良いかもしれません。

 

さて、夏素材に求める特性として「吸湿性」と並んで重要なのは「通気性」ですよね。

通気性は素材の違いも関係しますが、むしろ生地の厚みや、織り方によって変わってきます。
当然ながら織りの密度が低い方が通気性は高まります。
また、表面に凹凸のある生地は体への密着度が下がりますので、その分通気性が増します。

低密度の生地はレース地ガーゼオーガンジーなどがあります。
密度の違いに加えて糸の太さ、素材の違いで色々なバリエーションが生まれます。

凹凸のある生地としてはサッカーしじら織り縮み縮緬(ちりめん)といった生地があります。
サッカーやしじら織りは経糸と横糸で太さの違う糸を使用しており、そのため生地の表面に凹凸が生まれます。浴衣や甚平などの素材に良く使われています。
縮みや縮緬は横糸に強撚糸という撚りを強くかけた糸を使用することで横方向の収縮が表面の凹凸を生み出します。
これらの生地は汗をかいても肌に張り付かないので、肌触りがサラッとしていて、汗の蒸発を妨げません。まさに夏向きの素材ですね。

 

このように「吸湿性」と「通気性」に適した夏向きの繊維素材は、木綿や麻以外にもたくさんあるのです。

色々な繊維の特徴を知っておくと、服作りの素材選びにも役立ちます。
今まで使ったことのない生地に挑戦してみるのもハンドメイドの幅を広げるきっかけにもなるかも知れませんね。

 

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というわけで、今日は夏向きの繊維素材についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

かしこく素材を選んで、快適な夏服を手作り♪
お役に立てば幸いです(#^^#)
 

 
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