縫い代幅の決め方と始末の仕方

こんにちは(^^)/

よく生徒さんから質問を受けるのが、縫い代幅の決め方です。

縫い代幅というのは、その部位の形状や生地の特性、服のシルエットや出来上がってからの扱い方など、様々な要因によって決まってきます。
部位によっては慣例的にほとんど1cmに決まっている場合もありますが、どのくらいの幅に設定しても特に問題なさそうな場合は、かえって迷ってしまいますよね。
そこで、縫い代幅を決める時の基準について、部位ごとに解説していきたいと思います。

 

「衿ぐり」「袖ぐり」

この部位はカーブしている事がほとんどなので、縫い代幅は1cm以下の細い幅に設定するのが一般的です。
裁断時の裁ち端を内径とすると、見返しと縫い返した後の裁ち端の位置は外径となります。
縫い代幅が広いほど、内径と外径の差が大きくなり、出来上がりがつれてしまいます。
そのため縫い代幅は細い方が良い、という事になります。

下の図は縫い代幅と出来上がりに不足する寸法(縫い代がつれる度合い)について表したものです。
黒い線が元の裁ち端。赤い線が縫い返した後の裁ち端の位置です。
想像以上に裁ち端の寸法が足りなくなっているのがお分かりになると思います。

 

 

実際には1cmの縫い代幅でもかなりの差が出来ますので、くさび型の切り込みを入れたり、0.5cm程度の幅にカットするなどの処理が必要です。
「どうせ0.5cmにカットするなら最初から0.5cmにしておけば」と思われるかもしれませんが、布というのは裁断直後からどんどんほつれてきます。
最初は1cm付けておいて、縫った後からカットする方が無難です。

 

 

「肩」

肩線はシルエットの骨格を決める大事な部位ですから、できれば1.5cm程度の縫い代を付けた方が安定します。
中厚地の生地では縫い代の厚みがあるので、縫い目でアイロンした縫い代が起き上がってくる事もあります。
そういう場合、縫い代幅を多めに付けた方が縫い目も安定します。

ただし、シャツやブラウスなど洗濯機でお洗濯するような場合は、縫い代の処理は「割り」よりは「ロック・片倒し」の方が適しています。
こういうアイテムはシルエットの安定性より、洗濯時の扱いやすさや着心地などが優先されるので、1.5cmでなくても良い場合もあります。
薄地では1cmでも良いと思います。

 

「脇」

脇は後々寸法直しをする際にこの縫い代の増減で対応する事が多い重要な部位です。
出来上がってから微調整するにしても、最初から縫い代が少ないと融通が利きません。
そういう意味で脇は少し多めに縫い代幅を付けておくと安心です。
中厚地のジャケットやコートなどは多めに付けておくことでシルエットも安定します。

脇の縫い目を利用したポケットを作る場合もありますね。
そういう場合、脇の縫い目に負荷がかかりますから、縫い代幅が細いとそれを支えきれず、シルエットが崩れる原因にもなります。

縫い代幅を多めに付ける場合、気を付けたいのはウエストがシェイプされたデザインです。
ウエストの絞りを脇だけで付けると、脇線がかなりカーブしてしまいます。
そこへ多めの縫い代を付けると、縫い代がつれる原因になります。
そんな時はウエストの絞りを脇だけに集中させず、ダーツや背縫いなどで分散させ、脇線のカーブをゆるやかにするのがコツです。

では具体的にどのくらいの縫い代幅が適正か、というと、中厚地ではやはり1.5cm~2cm。
それ以上にすると逆に袖ぐりに影響したりしますので、おすすめしません。

一方、肩の場合と同様に、家で頻繁に洗濯するようなカジュアルウエアでは、1cm幅で「ロック・片倒し」が適当な場合もあります。
いろいろな要素を考えあわせ、その時々に合った縫い代幅を臨機応変に決めていくのが良いと思います。

 

「袖口」「裾」

ここは比較的自由に決める事のできる部位ではありますが、注意しなければならないポイントもあります。
というのも、袖口や裾は着た時に「どうかすると裏側が見えるかもしれない」という点です。
通常の動作で裏側が見えた時、できれば縫い代の裁ち端部分(ロック始末跡など)が見えない方が良いです。
そういう意味で既製服でも3cm~4cmにしている事が多いようです。
昔のオーダー品などは5~6cm付けるのも普通でした。

また、裾や袖口というのは人間の中身に対して広く出来ていますよね?
着た状態では想定した袖口幅や裾幅はそのままキープされるわけではなく、多少身体周りに沿ってすぼまってくるのが自然です。
ですが、折り返りの縫い代幅が多く付いていると、その部分は布が二重になっているので張りが出ます。
結果、裾幅や袖口幅がすぼまってしまうのを多少防ぐ助けになります。
裾のシルエットが安定すると、きちんとした印象になりますよね。
かっちりしたジャケットやコートなどには良いと思います。

因みに、このようないわゆる「アウター」の裾上げの方法ですが、ステッチをデザインにしたい場合を除いては、手まつりする事をおすすめします。
私は総裏付きの場合は表には見えませんから「ゆるい千鳥掛け」にする事がほとんどですが、裾が「ふらし」のコートなどは、裾の縫い代をパイピング始末にして、目立たないように「奥まつり」にします。
ジャケットやコートというものは、出掛けた先で脱ぐ事もあります。
そういう時に丁寧な仕事がその服のグレードを左右するので、気を付けたいポイントです。
さて、今度はフレアースカートなど、裾広がりのシルエットの場合。
先にご説明した「衿ぐり・袖ぐり」の場合とは反対に、出来上がり状態では裁ち端が余ってしまいます。
こういう時に幅広の折り返しを付けてしまうと、裾上げがたいへんです。
まつり縫いの際、余った縫い代が押されてきて、裾がよじれてしまう事もあります。
そういう時は3cm以下の縫い代にしておいた方が無難です。
ロック始末が見えてしまうのでは?と気になるなら、いっそ細い三巻きにしたり、巻きロック始末にするのもおすすめです。
ドレープ感を出したい場合はむしろ効果的です。

その他、特にシャツなど、ウエストインする事を想定している場合は、すっきりと仕上げるために縫い代幅を細くします。
メンズのワイシャツでは慣例的に0.5cmの三つ折り始末にする事が多いですよね?
これも理にかなっていると言えます。

ところでフレアースカートの裾まつりは「ねじれ」が起こりやすかったり、ワイシャツの細い三つ折りステッチは脇のカーブがつれるなど、少し難しいと思われる方も多いと思います。
それらを防ぐコツなども、また別の機会にご紹介したいと思います。

 

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というわけで、代表的な部位について縫い代幅の決め方を解説してきましたが、如何でしたでしょうか?
もちろんその時々で条件が変わりますし、デザイン的に敢えてイレギュラーな選択をすることももちろんありうる事だと思います。
いろいろ作品を作っていく中で、そのあたりの判断力が培われていくのではないでしょうか。

 

それではまた~(^.^)/~~~

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