ついやってしまう?!直したい洋裁のNG習慣

おはようございます!

タイトな仕事に一区切り付き、薄曇りのお天気とは裏腹に、とてもすっきりとした一日がスタートしました。

今日は私が今まで教えてきた生徒さんたちを見ていて、意外と皆さんがやりがちな習慣で、直した方が良いと思う行動について、いくつか取り上げてみたいと思います。

そもそも、私はプロになろうという人を教えているわけではないので、気を付けなければいけないポイントはできるだけ絞って、あまり細かい事を言いすぎないようにしています。
でもそうすると、人間というのは楽な方へ流れてしまうもので、つい手を抜いてしまいがちです。

洋裁には多少手を抜いても許される部分と、手を抜いてはいけない部分があります。
その理由と見極め方を知っておく事は大切です。

 

NG行動 その1

裁断前の生地にアイロンをかけていない

少しくらいシワが寄っていても構わずに裁断していませんか?
「このくらいいいんじゃない?」と思うかも知れませんが、これが大間違い。
なぜかというと、シワが寄った生地で裁断すると、実際よりかなり大きく裁断されてしまう事になるのです。
これが、2枚のパーツを接ぎ合わせる時に合わなくなる原因になります。
2~3ミリ違っていても、縫う段階ではかなり苦労するはずです。

裁断する時は、生地を紙のように平らな状態にしておく事が、正確な裁断の第一歩です。
これは、後々苦労しないための自分への配慮だと思ってください。

 

NG行動 その2

裁断時に合印を入れていない

よほど自信があるのか、必要と思っていないのか、合印を入れない、入れ忘れる人が目に付きます。
私は基本的に既製服のやり方で指導していますが、この方法では切りびつけなどで出来上がり線を印さない代わりに、合印はとても重要です。
必要のない印などありません。
脇線など、ほぼ真っすぐだから入れる必要がない、などと思うかもしれませんが、脇線の合印の位置はウエストラインやヒップラインに付ける事がほとんどで、後で寸法直しをする際にこれが目安になるのです。
「全ての合印を裁断時に入れる」という事が大原則なのです。

また、工場では合印は生地の端に3ミリ程度の切り込み(ノッチ)を入れますが、この切り込みを必要以上に恐れている人もいます。
後でほつれてくるのではないか?と怖がっているようなのです。
しかしながら、ほぼ大抵の生地は3ミリ程度の切り込みのせいでほつれてくるなどという事はありません。
それどころか、一番簡単で、チャコのように後から消えてしまう恐れもない、確実な方法なのです。

もちろん、すべての生地が大丈夫、というわけではありません。
織りのの荒いツイードやオーガンジーなど、ほつれやすい生地の場合のみ、糸印やチャコ、安全ピンなど、別の方法にすれば良いのです。
私はそうしています。

このノッチという素晴らしい方法を回避したがために合印が後でわからなくなって、縫っている途中でむりやりパターンを乗せて印を入れ直したり、という事が頻繁に目に付きます。
さんざん縫ったりアイロンした後の生地は伸びたり地の目が歪んだりしていますので、後から印を付けると正確な位置になっていない可能性が大きいのです。

とにかく、「合印は裁断した後直ちに全て入れてしまう」というのが、後で困らないベストな方法なのだという事をお忘れなく。

 

NG行動 その3

裁断後はパターンを見ない

裁断してしまったら、パターンはしまい込んで、一切見ない方もいますね。
これでなぜ縫い代幅がわかるのか、本当に不思議です。
全て覚えているのでしょうか?
ところが、縫い代幅を間違えて縫ってしまうミスは頻発します。
縫い代付きのパターンは実物の寸法の縫い代が付いているですから、思い込みではなく、ちゃんと定規を当てて確認してくださいね。
1cmだと思い込んでいると1.2cmだった、という事もあります。
肩や脇の縫い代を間違えると、衿付けや袖付けで合わなくなります。
そうなって、縫い目を解くのはかえって面倒だとは思いませんか?
確認するのは一瞬の手間です。

そして、パターンには重要な指示や情報が書き込まれている可能性もあります。
縫い代の始末の方法・・・例えば「割り」か「片倒し」かで、ロックと地縫いの順番が変わります。
そういう指示を見ずに進めてしまうのは、知らない街を地図も見ずに運転するようなものです。
確認はし過ぎる事はありません。
急がば回れ・・・ですね。

 

NG行動 その3

チャコを削らない

なぜかほとんどの生徒さんが持っていらっしゃるチャコやチャコペンシルはかなりの確率で、先がとても丸い・・・たぶん一度も削った事が無いんじゃない?と思うほどです。
チャコで描いた線は2.5ミリくらいの幅がありそうなのに、平気で使っていらっしゃいます。
このような削っていないチャコで付けた印というのは、不正確なばかりではなく、消えやすいのです。
チャコとはいわゆるチョークと同じ成分ですが、微粉末を油脂で固めたものです。
それが布との摩擦によって粉が削られて布に着くのですが、長く削っていないチャコは表面が硬くなってしまって、粉が削られにくい状態になっています。
加えて、布と接触する面積が広いので、手の圧力が分散され、濃く付きにくい・・・わかりやすく言うと「広く浅く」というイメージですね。そのせいで消えやすくなってしまうのです。
チャコは常に削って、先端を鋭利な状態にしておく必要があるのです。

チャコやチャコペンシルを削る道具もちゃんと販売されています。
安価な物なので、ぜひ揃えておいてください。

チャコ削りを買ったら、削りカスを入れるための容器も用意しておきましょうね。
というのも、削るたびにゴミ箱のところへ行くのが面倒で、つい削るのが億劫になってしまうからです。
100均のミニタッパーに削り道具を入れて持ち歩けば、カス入れにもなるし、便利ですよ(^^)
 
 

NG行動 その4

接着芯の貼り方が甘い

生徒さんたちの貼り方は総じて甘い事が多いですね。
「表裏を逆に貼ってしまった」と言って、手で簡単に剥がしているのを見て、唖然とします。
手で剥がせるというのは、あきらかに貼り方が甘過ぎです。
剥がれかけた接着芯は、本来と違う位置に縫い込まれたり、別のアイロン工程で不自然に再接着される事で、生地が歪む原因なるのです。

接着芯というのは樹脂の糊をアイロンの熱で溶かし、圧着させるものですが、貼り方が甘くなる原因には2つあります。

 

1.樹脂のりが十分に溶けていない

これは、アイロンの温度が低過ぎるか、圧着時間が短か過ぎる事が原因です。
当て布を使用する場合は伝わる温度が若干下がりますので、その事も考慮しなければいけません。
布の種類や芯の素材、糊の付き方などで変わってくる場合もありますので、残布などで試し貼りをするのが確実です。

また、接着芯を貼る時にスチームを使うかどうかも議論が分かれるポイントです。
私の場合は、スチームを使います。
工場時代に、「アイロンで手貼りする場合はスチームを使いなさい」と教わりました。
実際にスチームを使った方が、確実に樹脂糊が良く溶けて、しっかりと貼れるのです。

一方ネットなどの情報では「スチームを使うと水分の影響で芯が剥がれやすくなる」という記述もあります。しかしながら、私の何十年の経験から、スチームのせいで接着芯が剥がれた、という事はありません。

それでも100歩譲って、スチームを使ったら、その後はドライに切り替えて、水分を蒸発させるようにしましょう。アイロンにも寄りますが、ドライモードにしておいてショット(ジェット)スチームを使うのがおすすめです。

 

2.アイロンの熱が下がる前に動かしてしまう

樹脂のりは熱で溶け、冷えると固まる性質があります。
せっかく貼っても、熱いうちに動かしてしまうと、部分的に芯と布が離れてしまい、剥がれの原因になります。
アイロン圧着後は粗熱が取れるまで放置するようにしてください。
あるいは、アイロンではない平らな物(私は角文鎮を使いますが)で冷めるまで圧着を続けると完ぺきです。

とにかく、芯を貼ったら貼りっぱなしではなく、貼りが甘くないか、貼り残しで浮いている部分が無いか、必ず確認するようにしましょう。

 

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というわけでちょっと辛口でしたが、私からみた「やりがちな洋裁NG習慣」を取り上げてみましたが、思い当たる事はありましたか?

今日挙げた事はすべて技術の程度に関係なく、誰でも気を付ければ改善できる事です。
習慣を変えれば、必ず作品の出来や技術の向上に繋がりますので、ぜひ参考になさってください。