こんにちはー(^^)
今日は「裏地」について少しお話してみたいと思います。
普通の人は裏地の事を特別考えたりする機会はあまりないと思いますが、裏地は大切なわき役です。
保温効果だけでなく、着用によるダメージ・・・摩耗や汚れ(汗や皮脂など)から表地を守る働きもあります。
下に着ている服との摩擦を減らしてすべりを良くする働きもありますね。
このような「目に見えない」働きだけではありません。
ジャケットやコートを前を開けて着ている時や、出先で脱いだりする時など、裏地がチラッと見える場面がありますよね?
そんな時、おしゃれな裏地が付けられていると「あら、素敵✨」と思わず見入ってしまいます。
昔の日本人は着物生活でしたが、庶民は豪華な布地を使う事を許されていませんでした。
そのため、人目に付かない裏地に派手な柄の生地を使ったりしてお洒落を楽しんでいたそうです。
「裏勝り」とは、いかにも日本人的な美意識を感じますね。
ところで、洋裁好きな方でも「裏付きの服は苦手」という方も多いと思います。
確かに裏なしの場合に比べて工程が多くなりますし、面倒だと思う方もいらっしゃると思います。
また、裏地の素材自体、裁断や縫製が多少難しいのも事実です。
ですが、必要最小限の知識と少しの慣れで、裏地は簡単に縫えるようになります!
要は「やってみようかな」という気持ちだけ。
その知識とコツをこれからご紹介していきますので、まだ裏付きの服を縫った事がない、という方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね(^^)/
まず今回は裏地の選び方についてお話します。
裏地には「裏地用」として販売されている生地を使います。
市販されている裏地は組成によって大きく3つに分類できます。
キュプラとは「コットンリンター(綿花の種子に生えている短い毛)」を原料として作られた再生繊維です。
再生繊維とは植物のセルロースを化学薬品で溶かし、人工的に紡糸した繊維です。
そのため天然繊維の特性を備えており、吸湿性、通気性があるのが特徴です。
旭化成のベンベルグ裏地シリーズが有名ですが、こちらもキュプラを使用しています。
シワになりやすいので水洗いするような服には適しません。
ポリエステルは化学繊維で、キュプラに比べて通気性や吸湿性はほとんどありません。
値段が安いので、低価格帯の既製服には多用されています。
ポリエステルの特徴である「熱可塑性」により、アイロンが効きにくい反面、一旦アイロンで固定された形は崩れにくく、シワになりにくい利点もあります。
着物の裏地に使われている「羽二重」が代表的です。
柔らかくて肌触りが良く、通気性・吸湿性・保温性もあります。
値段が高いので市販の洋服にはほとんど使用されません。
他の裏地用の生地と違ってほとんど帯電防止加工がされていないので、静電気が起きやすい特徴があります。
以上のような特性を踏まえて、初めて裏地に挑戦する方におすすめするのは「キュプラ裏地」です。
特にベンベルグ裏地シリーズの中から選ぶのが無難です。
季節ごとに適した裏地が数多く揃っていて、多くの生地店で比較的手に入りやすいからです。
このベンベルグ裏地、「種類が多すぎて良くわからない」という方もいらっしゃると思います。
そこで、いくつかおすすめの裏地を選んでみました。
裏地選びの参考になさっていただければ、と思います。
これは季節を問わず使える一番汎用性の高い裏地です。
中肉の平織りで、「迷ったらこれ」というくらい、定番商品です。
たいていの生地店で置いていますし、お値段もリーズナブルなので利用しやすいと思います。
これはほとんどベンワールドと同じような生地で(気持ちワールドより薄手かもしれませんが)、春・夏・秋3シーズン使用できる裏地です。
ベンベルグシリーズの中では一番安いので、コストを下げたい場合はおすすめです。
ワールドより薄手でローンタイプの裏地です。
通気性に優れ、肌触りもサラッとしているので、夏物にはピッタリです。
光沢を押さえていて落ち着いた雰囲気なのが気に入っていて、私はよく利用しています。
これはやや厚めの中肉で綾織りの裏地です。
しっかりとしていて高級感があります。
ジャケットや軽めのコートなどに最適です。
このような特性を踏まえ、お好みや用途、お手持ちの表地との相性などを考えあわせ、裏地を選んでいきましょう。
なお、ご紹介した他にもベンベルグにはたくさんの裏地があります。
ご興味のある方は旭化成のサイトをご覧ください。
また、通販でもベンベルグ裏地を購入できます。
というわけで、今日は裏地の種類や特性についてお話してきました。
次回は実際に裏地を縫製する上での注意点やコツなどをご紹介できれば、と思っています。
それではまた~(*^-^*)