こんにちはー(^^)/
既製服を着ていて、服の前衿ぐりあたりがどんどんせり上がってくる、という経験はありませんか?
「服によって、そうなる物もあれば、ならない物ものもある」という方もいらっしゃると思いますが、「全部そうなっちゃう」という方もめずらしくありません。
服の前が上がってきてしまうのは骨格や姿勢に原因があります。
いわゆる「猫背」とか「前肩」、「ストレートネック」。
これは身体が前かがみになって背中側の寸法が長くなるために、服の前側の領域が後に持って行かれてしまう、という現象なのです。
洋裁をされる方ならヌード寸法の測り方はご存じだと思いますが、同じ人の同じ個所を採寸しても、姿勢によってずいぶん寸法は変わってしまいます。
試しに、ご自分の寸法を測ってみてください。
測る箇所は「背丈」と「前身丈」。
背丈はご存じのようにバックネックポイントからウエストまでの寸法です。
前身丈はあまり測る事はないかもしれませんが、フロントネックポイントからウエストまでの寸法です。
この2ヵ所を「背筋を伸ばした良い姿勢の時」と、「座ってスマホを見ている時のような、普段良くやっていそうな姿勢の時」とで測り比べてみてください。
この写真は10号の工業ボディですが、背丈で38cm、前身丈で34cmです。
これが、ちょっと猫背の状態で測ると、背丈は42cm、前身丈は30cmとかになっていませんか?
そう、背丈は長くなり、前身丈は短くなっているのがお分かりだと思います。
この「良くない姿勢」が常態化してしまうと、最初にお話ししたように、服の後側の寸法が足りなくなり、前側の領域が後に持って行かれてしまい、首元がせり上がってしまう、という事になるわけです。
では姿勢を正せば良いのか、と言う話ですが、そんなに簡単な事ではありません。
職業的な習慣で骨格が変形してしまっている方もいらっしゃるでしょうし、年齢的な背中の曲がりは自然な事でもあります。
骨格自体を自分で直すことは至難の業です。
では、猫背で前肩傾向のある方でも前がせり上がってこない、着やすい服は無いのでしょうか?
ご安心ください!!
既製服を直すのはちょっと難しいですが、自分で手作りする服なら、お持ちのパターンをちょっと修正するだけで、ずいぶん着やすい服にする事ができます(^^)/
一番簡単なのは、前身頃の「フロントネックポイント(前の首点)」、「サイドネックポイント(脇の首点)」、「ショルダーポイント(肩点)」の3点を垂直に同じ寸法で下へ移動し、後身頃の「バックネックポイント(後の首点)」、「サイドネックポイント(脇の首点)」、「ショルダーポイント(肩点)」を前身頃の移動させた同じ寸法分だけ垂直に上へ移動させる、という方法です。
この操作で何をしたのかと言うと、腋の下から上の部分で後の丈を全体に伸ばし、前の丈を全体に縮めたわけです。
この時の注意点は、垂直に移動させるという事です。つまり、衿ぐり線、肩線をそのまま切り取って移動させる、という事になります。新しいSPは元のカナメ(ノッチの位置)に自然につなげてアームホールを引き直します。
この方法の良い点は、肩丈だけでなく、背丈、前丈や後丈までもカバーしつつ、全体としてのバランスを大きく崩す事なく修正できる事です。
よくSPだけを移動させて修正する方がいらっしゃいますが、それでは不十分なのです。
具体的な移動寸法としては別布などで仮縫いして頂いて最適な寸法を決めて頂くのが良いと思いますが、0.5cm~1cmくらいから試してみるのがよいのではないでしょうか。
そして、この修正に伴い、アームホールの寸法が変わりますので、お袖を付ける場合はそちらの修正も必要になります。
具体的には前のアームホールが短くなり、後のアームホールが長くなりますので、その分だけ袖山の長さを前後でそれぞれ修正していきます。
ここで重要なのは今度は水平方向に移動させる事と、袖口も同じだけ移動させる、という点です。
赤は赤で同じ寸法、青は青で同じ寸法分だけ水平移動させるわけです。これをやらないと、袖下の寸法が前と後ろで変わってしまうのです。
どうでしょうか。
それほど難しい修正ではありませんよね?
一般的に若い方向けの服では前後のアームホールの寸法差は1~2cm程度ですが、年輩の方向けの服になると4cmくらいの差があっても良いのです。
ぜひ試してみてくださいね(^^♪
それではまた~(^O^)/