こんにちは~!
お待たせしてしまいましたが、「洋裁をする方に使いやすいアイロン台」について、さらにお話を深めていきたいと思います。
ここで、もう一度洋裁でのアイロンがけの特長と働きについて確認しておきましょう。
一般的なアイロンがけが主に「シワを伸ばす」という目的なのに対し、洋裁でのアイロンは縫い代を割ったり倒したり、布端を折ったり、というように、布の「クセ付け」が主な目的になります。
しっかりと布のクセ付けをするためには「スチームを使う」という事が欠かせません。
それは布は水分を含んだ状態の方がよりクセが付きやすい、という性質があるからです。
ただし、クセ付けした後は、直ちに乾いた状態にしてあげないと、余分なシワができたり、せっかくのクセが歪んでしまったり、という事が起きる可能性があります。
そのため、アイロン台に余分なスチームを残さない、という事が大切になってくるのです。
従って、洋裁向けのアイロン台を選ぶ基準として、第一に上げたいのがスチーム抜けが良いということです。
特に洋裁の場合は細かい作業が多く、手で布を押さえながらアイロンをかけなければならない場合など、スチーム抜けの悪いアイロン台でのスチーム使用は手を火傷する危険があるのです。
では、実際どのような製品が洋裁アイロンに適しているのでしょう?
それをご紹介する前に、一般的なアイロンがけで推奨されるアイロン台が必ずしも洋裁に向かない事があるので、その点についてもお話したいと思います。
1.かけ面はフラットな方が良い
一般的なアイロン台で良く見かけるのが、スタンド付きで、かけ面が人体型に湾曲したタイプです。
ワイシャツなどをかけるのには適していますが、洋裁の細かい部分作業には湾曲面はかえって使いづらいので、かけ面がフラットなタイプを選びましょう。
2.木製の平置きタイプはスチーム抜けが悪い
洋裁向けに販売されいる平置きタイプのアイロン台の多くは、土台が「木質繊維板」という物で作られています。
これは木材や植物の繊維を圧縮・成形した板です。
一枚板や集成板より頑丈で反りにくく、熱にも強いという利点がありますが、一方、スチームを逃がす事は全くできません。
そのため、先述したようにスチームを多用する洋裁の作業ではあまりおすすめできませんが、地のしや、生地の水通し後に全体のシワ伸ばしの目的で使う分には問題ありません。
3.土台は「スチールメッシュ構造」がおすすめ
前述したスチーム抜けの観点から言えば、土台の素材と構造が重要になってきます。
「スチームアイロン台」を謳った製品の中には、プラスチック素材にスチーム抜けのためのパンチ穴を開けた土台を使用している物もあります。
ですが、実際は強度の問題からパンチ穴の大きさや密度には限界があるため、スチーム抜けはメッシュタイプには及びません。耐久性の観点からもスチール素材・メッシュ構造が何といってもおすすめです。
4.スタンドタイプは使い方に工夫が必要
スタンド付きのタイプには、立ち姿勢でかける「ハイスタンドタイプ」と、床に座った姿勢でかける「ロースタンドタイプ」があります。
ミシン作業との動線を考えるなら、床に座った姿勢でかける「ロースタンドタイプ」は洋裁の作業効率的には使いやすいとは言えません。
ただし、スタンドを畳んだ状態で平置き可能であれば、机や作業台の上に置いて使う、という方法があります。
但し、その場合、アイロン台の下にマットやバスタオルなどを敷いて、熱やスチームが直接机に当たらないようにする事が大切です。
また、「ハイスタンドタイプ」は立った姿勢で使えるのは良いのですが、かけ面が細長く、奥行きが狭いのが難点です。
布がアイロン台に乗りきらず垂れ下がってしまうと、生地が引っ張られて正確なアイロン作業ができません。
このタイプを使用する場合はアイロン台のすぐそばに作業台やテーブルを設置するなどして、生地全体を乗せられるスペースを確保するようにしましょう。
5.アルミコーティングカバーはNG
アイロン台カバーにアルミコーティング素材を使用している製品を多く見かけます。
アルミコーティング素材はアイロンの熱を保持しやすく、汚れも付きにくいのが利点ですが、スチームをほとんど通しません。
細かいスチーム孔を設けているカバーもありますが、実際使用してみると、かなり手元が熱くなりますので、スチームを使った作業にはおすすめできません。
カバーは通気性の良い綿素材が良いでしょう。
カバーの上にさらに一枚シーチングなどを敷いて使えば、カバーの汚れを防ぐ事ができます。
さて、ここまで色々条件を上げてきましたが、アイロン台の大きさについて、少しお話しておきたいと思います。
一般的にはアイロン台は大きければ大きいほど良い、と思われがちですが、洋裁の作業の場合はそういうわけでもありません。
と言うのも、そもそも洋裁に適したアイロン選びの前提として「コードレスアイロン」は適温を保持できないため、おすすめしていません。コード付きのアイロンを使用する場合、コードの長さの関係上、そこまで広範囲に作業できるわけではありません。
また、洋裁では先述した通り、縫い代を割ったり、裾を折り上げたり、という部分的な作業が多いため、洗濯物のアイロンがけのように平らに置いて一気にかける、という使い方はしません。少しずつ布の位置を変えながらの作業になるので、実際のところアイロン台が大きくても使うのはそこまで大きな面積ではありません。
但し、スタンドタイプのところでご説明したように、アイロン台は大き目の作業台に平置きし、布全体は作業台に乗せられ、垂れ下がった状態にならない(重力で布がひっぱられない)という事が重要です。
一方、生地の水通し後のシワ伸ばし(地のし)などには確かに大きなかけ面の方が効率が良いですよね。
そんな時には、ちょっと大きめで安価なアイロンマットを使う、という方法もあります。
もちろん、アイロン台は小さいより大きい方が良いに違いありませんし、予算が十分にあるなら別ですが、細かな洋裁のアイロン作業において「大きさ」を最重要視しなくても良い、というのが私の考えです。
というわけで、次回はいよいよ具体的におススメの製品をご紹介してきたいと思います。
それではまた(^.^)/