ロックミシン トラブルの原因と対処法

こんにちは~(^^)/

いつも当ブログをご覧くださり、ありがとうございます!

今日は教室で最近遭遇したロックミシンのトラブルについて解説したいと思います。

 

「せんせ~い💦」

と、泣きそうな顔でSOSしてきたのは70代の生徒さん。

見れば、押え金の下で白いロック糸が針板と布をグルグル巻きに羽交い絞めにしているではありませんか。

白いロック糸の塊は1cmくらいの大きさの繭だまのようになっています。

・・・・・・・

なにこれ?

まっしろしろすけ?

初めて見る光景でした。

 

その時は私もちょっと動揺して(ミシン、大丈夫かしら・・・って)、写真を撮っておくなどという考えも浮かばず・・・お見せできないのが残念ですがwww

それにしても、こんな風になる前に何か異変?兆候?があったはずだと思うのですが、

グルグル巻きの物体が巨大化して、もう全く前に進めない状況になるまでフットコントローラーを踏み続けたのだと思われます。

押えと針板を外し、絡みついたまっしろしろすけをハサミで少しずつ解体して、ようやく布が自由の身になるまで5分くらいはかかったでしょうか。

元の状態にセッティングし直し、針を新しいものに交換して試し縫いをしてみると、幸いなことに糸調子に問題はなく、ミシンの方は無事だったようで、一安心。。。

 

今回のこのトラブルの原因ですが、実際に見ていたわけではありませんが、私には思い当たる事がありました。

というのも、この生徒さんは日頃からフットコントローラーの制御が苦手でした。

ゆっくり縫いたければ踏み方を加減すれば良いだけの事なんですが、苦手意識と緊張のあまり足が言う事を聞いてくれません。

なので、布が行ってしまわないように、常に布を手前に引っ張ってしまうクセがあったのです。

ロックミシンは糸を編んでいくように縫っていきますが、一定幅の環状にするために、縫い始めは針板の棒(写真参照)に絡めるように縫っていき、布が送られていくと縫い目が棒から外れていく仕組みになっています。

★針板が見やすいように、押え金は外しています。

しかし布を引っ張ってしまうと、布が正常に送られず、同じ場所を何度も縫い重ねてしまい、棒に絡みついた部分が巨大化してコブのようになってしまいます。

そうなると今度はそのコブが障害になって、さらに布が送られない、という悪循環に陥ってしまうのです。

布を引っ張ってしまう悪影響はこれだけではありません。

針が布に刺さった状態で布を引っ張ってしまうと、針が曲がってしまったり、場合によっては針板の穴の位置に針が落ちず、穴ではない場所に針落ちして、折れてしまう事もあります。

一方、この現象は引っ張るのと逆に、布を先へ「押す」ことでも同様に起こります。

こちらは珍しいケースですが、送り歯の動く速度よりも早く布を送ろうと前に押しすぎると、針が前方に引っ張られて、針が曲がったり折れたりする事があります。

押すケースではまっしろしろすけは出来ませんがww、逆に縫い目が出来るはずの箇所に縫い目が出来ない「目飛び」が起きる原因になります。

これはよく考えれば当たり前の現象ですよね。

事実これも教室で経験があり、その後糸調子が悪くなってしまったのでミシン屋さんにメンテナンスをお願いしたところ、ものすごく針が曲がっていた、というご指摘を受けました。

頻繁に針は交換しているのですが、布を押す、引っ張る、という行為はたった一回であっても針へダメージが及ぶ場合がある、という事だと思います。

もちろん、ロックミシンの操作は手放しではできません。

布の方向を手で操作したり誘導したり、という事は必要です。

ですが、当然の事ながらスピードの調節は「足」、つまりフットコントローラ-でするのが正解です。

特に厚地の物を縫っているわけではないのに針が折れてしまう、という場合は、知らず知らずのうちに良くないクセがついてしまっているかもしれません。

今一度ご自身のクセをチェックしてみて頂ければ、と思います。

 

ところで、これはミシンメンテの基本ですが、

「定期的な針交換」

ロックミシンの場合、特にこれが重要です。

というのも、ロックミシンには針が摩耗しやすい特性があるのです。

それは次のような理由があげられます。

 

1. 高速回転による連続使用

ロックミシンは通常の家庭用ミシンに比べて非常に高速で縫製するため、針への負荷が大きく、熱や摩擦による摩耗が早く進みます。


2. 多層・厚地・伸縮素材への対応

ロックミシンはニットやジャージなどの伸縮性素材を扱うことが多く、これらの素材は針に引っかかりやすく、摩耗を早めることがあります。また、縁かがり時に分厚く重なった生地を縫うこともあり、これも針の負担に繋がります。


3. メスとの接近動作

ロックミシンには布をカットするメス(上メス・下メス)があり、針がそのすぐ近くを通る構造になっています。針の動きがメスに近接しているため、少しのズレでも針がメスに接触し、摩耗や破損が生じることがあります。


4. ルーパーとの高精度な連携動作

ロックミシンはルーパーと針のタイミングが非常にシビアに調整されています。この高精度な連携動作により、針先がわずかでも摩耗・変形すると糸掛けや縫い目に不具合が出やすくなり、針の摩耗が目立ちやすい構造だと言えます。

以上の様な理由から、針先が折れていたり、目に見えて曲がっていなくても、針は摩耗している可能があるので、頻繁に針交換をしなければいけないのです。

折れるまで使い続ける、はNGです。

そのためにも、針は多めに用意しておくのがおすすめです。

 

というわけで、今回は私の教室でのケースをモデルにしてロックミシントラブルについて解説致しました。

大切なミシン、大事に長く使いたいものですね(#^^#)

それではまた~(^O^)/