カバーステッチ・・・悪戦苦闘の日々を今振り返る④完結編

ただの「まつり縫い」でなぜ伸縮性が確保できるのか?

例えば普通に直線のステッチをかけたとします。
上糸も下糸も糸の長さは布の横幅とほぼ同じです。
だから糸の長さ以上には生地は伸びない。これは当然ですね。

それなら糸を長くしておけば良い、ということですよね。
単純に考えれば、直線で進むよりジグザグに進めば、使われる糸は長くなります。

ではジグザグミシンをかければ良い、ということでしょうか?
はい、それも正解です。
試しに、振り幅と縫い目の長さを最大にして縫ってみてください。
とっても良く伸びます。

ただし、ジグザグステッチは表にも見えてしまいますよね。
表にジグザグを見せないようにするには・・・

はい。ここで「まつり縫い」登場です!
まつり縫いは言わば「表に針目をみせないジグザグ縫い」とも言えるのです!
さらに、通常は糸が目立たないように浅いジグザグで縫いますが、これを深いジグザグにすれば、より距離が稼げます。

これを実際に写真でご説明致しますね。

※わかりやすいように生地とロック糸とまつり糸で色を変えています。

①これがただの直線のステッチを2本かけた物。
ステッチ糸にはニット用の糸を使っています。

もともとの生地の横の長さは19cm。
横に引っ張って伸ばせるだけ伸ばしてみます。


+2cmでした。

 

②これは通常のまつり縫い。

引っ張ってみます。

伸びは+5cm。

 

 

③こちらはわたり幅を深くしたまつり縫い。


伸びは+10cm。

 

 

④こちらは「千鳥掛け」という縫い方。


伸びはなんと+14cm。
もはや何も縫っていない時の伸び率と変わりません。

 

どうでしょう?
糸の長さの分だけ生地が伸びてくれることがおわかりでしょうか。

ちなみに②~④では表にはほとんど縫い目は見えません。

また、生地の色、ロック糸の色、まつり縫いの色を同じにすれば、裏だってとてもスッキリします。

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カバーステッチが必要ない事に気が付いてしまった私。
現在に至るまで、ニット縫いにカバーステッチは使っていません。

ではあの工業用「扁平縫いミシン」はどうなったのでしょう?

最後に、あのミシンのその後についてお話します。

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その後、あのミシンは長い間私のミシンコレクションの一つとしてアトリエに並んでおりました。
何しろレアものです(笑)。
機械好きの私にとっては所有しているだけでも満足でした。

状況が変わったのはあのミシンを買ってから9年くらい経った頃の事です。

諸事情から、引っ越しをする事になりました。
今度の住まいは、間取りの関係上、アトリエに使おうと予定している部屋には現在の機材すべてを入れる事が難しいのです。
どうしても必要な物を除いて、無くても大丈夫な物はあきらめなくてはなりません。・・・そう、あの扁平縫いミシン。
あれは残念ながら処分せざるを得ない、という結論になりました。

「買ったミシン屋さんで引き取ってもらえばいいわ。」

私の甘い考えはすぐに打ち砕かれました。
「もうあんな古い機種は値打ちが無いから引き取れない。」というのです。

ショックでした。
そうか。それならお金を払ってでも処分してもらおう。

自治体に粗大ごみ依頼の電話をすると、「工業用ミシンは対象外です。専門業者さんにご相談ください。」との事(-_-;)。
ネットでも色々調べてみました。
古い工業ミシンだと引き取り料が2~3万円くらいかかるみたいでした。でも背に腹は代えられません。片っ端から電話してみました。

結局、有料でも引き取ってくれるところはどこにもありませんでした。

私は頭が真っ白になりました。
「どうしよう・・・」

もう引っ越しの日にちが迫っています。

困り果てている私に、知り合いのミシン屋さんがこんな事を教えてくれました。
「よく近所にトラックで回ってくる不用品回収のおじさん。たぶんああいう人だったら持ってってくれるよ。」

そっか!その手があったか!!

「ご不要になられました~、バイク、自転車、テープレコーダー、ミシン・・・」
うん、たしかに「ミシン」って言ってた!

でもあの不用品回収のトラック、声が聞こえたと思って外に出てみると、もういなくなってませんか?あんなに早く走ってちゃ、捕まらないじゃない!

何度か空振りが続いたある日の日曜日。
結構大きめの声が聞こえました。
それっ、とばかりに外へ飛び出してみました。トラックは見当たりませんが、声は聞こえます。
「まだ近くにいるに違いない!」
私は自転車に飛び乗り、声のする方へ追いかけて行きました。
となりの路地のずっと先に・・・いました!!

「すみませ~ん!!」と両手を大きく振って叫ぶと、トラックは止まり、それから勢いよくバックしてきました。

「工業ミシンなんですけど・・・」
「いいよ~」

「やった!」

何とも人のよさそうなおじさんでした。
軽トラックの荷台は結構高く、板切れでこしらえたスロープを使って、おじさんと二人でやっとこさ重たいミシンを荷台に乗せる事ができました。

「お世話さまでした。おいくらですか?」・・・ネットの情報では2~3万だったはず。いくらなんだろう?

「いくらでもいいよ~」

・・・・・

「へっ?」「いくらでもいい?」「どうしよう・・・」

私はとっさに財布の中から五千円札を取り出し、言いました。
「じゃ、これで。」

おじさんはニコっとして言いました。
「悪いね~、こんなに。」

・・・・・

かくして私はミシンの処分に成功し、無事引っ越しを終える事ができたのでした。

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カバーステッチをめぐるドタバタ物語。
いかがだったでしょうか?

私の恥ずかしい経験も、どなたかのお役にたてば幸いです(#^.^#)。

 

 

 

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