***理想の目打ち***

こんばんは(^^)/

洋裁の仕事で私にとって欠かせない道具の一つ。
「目打ち」

 

そもそも一般的に「目打ち」というと、「千枚通し」の事だと思われる方も多いと思います。

これはレザークラフトやモデリングをされる方が、穴を開ける目的で使う事が多いと思いますが、洋裁で使う目打ちは用途が違います。

では洋裁目打ちはどのような時に使うか、というと、

  1. 縫い目をほどく
  2. ミシン縫いで布を送る
  3. 布にピンポイントの印を入れる

私は主にこの3つの用途で使っています。
洋裁を長くやっている方はこのような作業に目打ちを効果的に使ってらっしゃる方が多いように感じます。

それでは、具体的にどのように目打ちを使うのでしょうか。
これらの使い方を簡単にご説明していきますね。

 

1.縫い目をほどく

ミシン目をほどくのに、一般的によく使われるのは「リッパー」でしょうか。

私も持っていますが、ほとんど使っていません。
何故かと言うと、リッパーは間違って狙いが外れると、生地を切ってしまう危険性があるからです。
また、リッパーで縫い目をカットすると、後で残った糸を取り除く手間ができてしまいます。

その点、目打ちを使うと生地を切ってしまう危険がありません。
また、目打ちを使う場合はミシン目をすくって引き、下糸から上糸を引き抜いていく、という感じでほどいていくので、糸残りがなく、結果的に早く作業が終わります。
また、3本糸ロックの縫い目をほどく時もとてもスピーディーです。
※ロックの縫い目ほどきについてはちょっとコツがあります。詳しくはまた別の機会に。

 

2.ミシン縫いで布を送る

既製服の縫製法である、「2枚の布端を揃えて、一定の縫い代幅で縫う」というやり方が一般的になってきました。
この縫い方では布端がずれないように縫う事が重要ですが、プロはしつけもせず、待ち針も使いません。

それは、左手でしっかりと布を送っているのと同時に、目打ちで布の右端を揃えながら送っているから。

また袖付けの時など、袖山のいせ分を目打ちで押し込みながらミシンかけをします。
そうすることで、いせ分が少ない場合はぐし縫いなどせずに縫えますし、いせが流れたりする事もありません。

 

3.布にピンポイントの印を入れる

これは布の表に印を付けたい時・・・例えばパッチポケットの付け位置に印をする時、チャコペンなどを使うと、跡が残ってしまう危険がありますよね。

そんな時、目打ちの先で小さい穴を開けて目印にします。
穴を開ける、と言っても、織り糸を切ってしまうわけではなく、少し隙間を広げるだけですから、スチームアイロンなどで簡単に元に戻せます。
紙の場合は開けた穴がふさがる事はありえませんが、布ならではの方法ですね。

 

ところで、このように便利な目打ち。
洋裁店やネットショップでも色々なタイプの物が売られていて、どれが良いのか迷いますよね?

そうなんです。実は私も数々の目打ちを買っては試してみましたが、なかなか自分に合う物がなかったんです。

というのも私の中では使いやすい目打ちの条件があり、それを満たしている物が少ないからなんです。

その条件とは・・・

 

【先細りである事】

先述したミシン目をほどく時、目打ちの先が太いと縫い目をうまくすくえません。
少なくとも先端から5mmくらいまでは直径1mm以下が望ましいです。

 

【根本はしっかりしている事】

先が細い物が良いと言っても、根元はしっかりしていないと曲がったり折れたりする事があります。「細目打ち」という種類の物はたいてい根本が細すぎるのです。

 

【全長が12cm程度である事】

国産の目打ちはこの長さの物が多いですが、持った時に収まりが良い長さです。
短すぎたり、長すぎたりすると手に馴染まず、使い心地が良くありません。

 

【転がらない事】

私の中ではこの条件が一番重要です。
というのも、多くの目打ちはなぜか持ち手が丸く、転がりやすいのです。
この転がりやすさのせいで、気が付かない間に目打ちがミシン台や作業台から転がり落ち、行方不明になる事が頻繁に起きるのです。
使いたい時に「目打ちが無い!」というのはとっても不便です。

 

実は、私が持っている中で今のところ一番手に馴染んでいた目打ちが、少し前から行方不明になってしまいました^^;
考えられる限りのところを探しましたが、作業スペースはとにかく膨大な洋裁材料やら機械が並んでいて、手の届かないところに入り込んでしまったのか、一向に見つかりません(T_T)。
仕方なく、別の目打ちを使ってはいますが、やはりあまり使い心地が良くありません。
もっと良い目打ちが欲しいなぁ・・・

そう思いながらネットで色々検索していると、今まで見た事がない目打ちに目が留まりました。

クロバー「ボールポイント目打ち」

写真で見る限り、根元の太さや、先端までのカーブ、先の細さなど私の理想通りです。
ただ、「ボールポイント」という、先端を丸めた加工がどうなんだろう?
使い勝手は実際に使ってみないことにはわかりません。

なんとなくビジュアルに惹かれて、ダメ元で買ってみる事にしました。

それが、これ!!

 

目打ちの先は細く、先端が丸く加工されています。

これは「トラプント」あるいは「ブティ」というキルト工芸があり、その綿入れ作業を念頭においています。
洋裁でも極端に鋭利な先端は生地を傷つけますので、ある程度丸く加工されているのは良いのかもしれません。
また、パッケージの裏面に書かれていますが、たとえばチャコペーパーとルレットでラインを転写する際、ルレットの代わりにこの目打ちの先を鉄筆として使う事もできるようです。
ルレットを使うとパターンがすぐにボロボロになってしまうので、これは良いかもしれません。

先細り感や根元の太さは申し分なし。

持ち手はクロバーの目打ちは他のタイプもそうなのですが、丸ではなく、楕円です。
完全に転がらないわけではありませんが、完全な丸タイプよりは転がりにくいです。

何と言ってもこのビジュアル!
目打ちにはめずらしい持ち手の青色、根元の形状、なかなかおしゃれですよね?

実際に使ってみると、手にしっくりと馴染み、縫い目ほどきはサッと糸をすくえるし、必要最小限の穴もちゃんとあきます。
全体的にはなかなか良い感じですが、「転がりにくさ」だけは点数で言えば70点。
はずみがつけばミシン台から転げ落ちてしまいそうです。

それなら、転がらないように何か加工すればいいんじゃない?

持ち手に何か「耳」のような物を取り付けて、凹凸を付けてやれば・・・

という事で、こんな風に加工してみました!♪

ラインストーンを貼り付けてみたんです♡
接着にはUVレジンを使いましたが、もちろんアロンアルファのような瞬間接着剤でも良いと思います。

で、効果のほどはと言うと、バッチリ!
ほとんど転がらなくなりましたよ♪

見た目も可愛くなったと思いませんか?

と言うわけで、実際に仕事でこの目打ちを使い始めたのですが、やはり懸念していた、先端の「ボールポイント加工」・・・
縫い目ほどきは、細かいミシン目だと先端部分が膨らんでいるので糸をうまくすくえません。
また、ミシンかけの時の布送りも、布が滑ってしまって、うまく送れません。
先端部分がもう少し小さくて、細ければ良いのですが・・・

そう、もうお分かりですね(^^♪
細くしちゃいましょう!

以前ご紹介したこれ。

はい、セラシャープナーです。
目打ちの先を研ぐのはお手の物。
これで最先端を除いて、ボールの膨らんだ部分を削っていきます。
そして・・・

ジャーン!!

 

今度は布送りも問題なくでき、ミシン目をすくうのもバッチリです♪

それにしても、ボールポイント目打ちを買っておいてボールを削ってしまうなんて、私は何をやっているのでしょう(^▽^;)

とは言え、結果的に理想的な目打ちになったので、私としては満足しております(^^♪

そんなわけで、今回買ったボールポイント目打ち。そのままでは洋裁に不向きなのでおすすめはできませんが、「加工前提」という事で、入手先をご案内しておきますね。

 

 

それではまた~(^o^)丿

#目打ち #洋裁材料 #先細り目打ち #ボールポイント目打ち #クロバー #転がらない目打ち

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