ニット生地とストレッチ生地 Part2

こんにちは(^O^)/

前回に引き続き、今日はニット生地やストレッチ生地を使用する際のミシン縫いの注意点について解説していきたいと思います。

ミシンで地縫いをする際は「ニット用の針」と「ニット用の糸」を使うという事は前回お話しましたが、縫い方にもコツがあります。

こういう素材はミシン縫いで伸びてしまうのが心配ですよね。
ですが、2way生地(縦横に伸びる生地)でなければ、伸びるのは主に横方向だけです。
脇や袖下、股下といった部分は、ほぼ縦方向ですから、実はそれほど伸びる心配は要らないのです。
もっとも、生地を引っ張って縫ったりすれば伸びてしまいますから、その点は気を付けなければいけませんが。

問題は横方向に縫う時です。
横方向とは「肩」や「衿ぐり」「袖口」「裾」といった部分です。
こういった部位を普通に縫えば、ほぼ間違いなく伸びてしまいます。
伸ばさないように何かしらの対策をしなければなりません。

一番簡単なのは「伸び止めテープ」を貼る、という方法。
確かにテープを貼れば縫う時に伸びないので便利そうに思いますよね。
ところが、伸び止めテープを貼ってしまうと、縫った後・・・つまり着用時も伸びなくなってしまいます。
ですから、着用する際は伸ばして着たい部分には伸び止めテープは貼らない方が良い、という事になります。

この横方向で、唯一、伸びなくても良い部位は「肩」です。
ここを伸ばして着る事はほぼありませんので、肩には伸び止めテープを使用しても大丈夫です。
ただし、伸び止めテープは柔らかい素材の物を選ぶようにしましょう。
ニット素材にも対応しているテープがおすすめです。

また、貼る場所ですが、裏返した時にテープがむき出しになっているのは見栄えが良くありませんね。縫い代を片倒しにするなら、出来上がり線にかからないように、縫い代幅より細い幅のテープを縫い代の表側に貼るようにしましょう。
なぜ表側に貼るのか、と言うと、2枚一緒にロック始末すれば、テープは生地の間に挟まれて見えない状態になるからです。
もし細い幅のテープが無い場合は、細い幅にカットして使いましょう。

ニットなど伸縮素材の伸び止めにはこちらのテープがおすすめです。

さて、では肩以外の部位はどうしたら良いでしょう?
「裾」や「袖口」の始末の仕方で、私の経験から一番良いと思う方法がこちら!

裁ち端は差動付きロックミシンで始末
ヘム上げは「手まつり」で

 

差動付きロックミシンとは、縫い目を縮めたり、伸ばしたりする機能が付いたロックミシンです。最近のロックミシンにはたいていこの機能がついています。

ヘム上げとは、袖口や裾を出来上がり線で折って縫う事を言います。

これをミシンステッチにしてしまうと、たとえレジロンなどのニット用糸を使ったとしても、出来上がりが伸びなくなって、着にくくなってしまいます。
既製服は「カバーステッチ」と言って、布端をかがりながらヘム上げが出来る専用のミシンを使っています。
これなら確かに生地を伸ばさずに縫えて、出来上がりはちゃんと伸縮性が確保されます。

ヘム上げについては私も長年試行錯誤してきました。
(カバーステッチミシンにまつわるドタバタ劇については過去の投稿に詳しく書いていますので、ご興味のある方はこちらをどうぞ。)

そうして、たどり着いたのが、

裁ち端は差動付きロックミシンで始末
ヘム上げは「手まつり」で

という方法なのです。

家庭用のカバーステッチミシンは糸調子などの扱いが難しく、私の経験上あまりおすすめしません。
それよりも、手まつりなら出来上がりはちゃんと伸び縮みしてくれますし、ステッチをかけるよりも断然仕上がりがきれいです。
私的には、シンプルで最強な方法だと確信しています。
まつり方の方法と伸び率の関係など、詳しくはこちらをご覧ください。

このように、ニット縫いには差動付きロックミシンは欠かせないアイテムですが、ロックミシンを持っていらっしゃらない方は、裁ち端の始末は家庭用ミシンのジグザグ縫いや、裁ち目かがり縫いをされると思います。
この縫い方は、縫い目の構造上、出来上がりがちゃんと伸び縮みしてくれます。
ただし、家庭用のジグザグミシンには差動付きロックミシンのように「縮めながら縫う」という機能がありません。
そのため縫う時だけは「伸ばさないように縫う」必要があります。

伸ばさないように縫いたい時に、布ヤスリを使ったミシン定規を使うと便利です。


このようにミシンの押さえ金の下にはさんで縫うと、伸ばさずに縫う事ができるのです。
写真の物は私が手作りした物で、物差しがわりにもなって便利なアイテムです。
#400の布ヤスリをカットしただけでも大丈夫ですので、ぜひ試してみてください。
ミシン定規についてはこちらでも取り上げています。ご興味のある方はどうぞ。

 

ここまで「肩」、「裾や袖口」などの伸びやすい部位の縫い方について解説してきました。
残るは「衿ぐり」ですね。

この衿ぐりの処理には伸縮素材ならではの色々な方法があります。
次回はそれについて解説していきたいと思います。

それではまたー(^.^)/~~~