ニット生地とストレッチ生地 Part3

こんばんは♪

今回、ニットやストレッチ生地を扱う際のコツや注意点について取り上げています。
今日は処理の難しい「衿ぐり」について解説していきますね。

伸縮性のある生地は、例えば開きのない被って着るタイプの服にする場合が多いですよね?
もちろん布帛(ふはく)でもこのプルオーバータイプの服は作れます。
ですが、伸びない生地の場合は、衿ぐりを大きく開けるとか、途中まで開きを作るなどしないと、衿ぐりに頭が通りません。
その点、伸縮生地なら、頭のサイズより若干小さ目の寸法でも被って着ることができるので便利です。

と言う事は、伸ばさなくても頭が通るくらいのサイズにすれば、衿ぐりは着用時に伸びなくても良い、という事になります。
この場合、接着芯を貼った見返しで始末しても良いですし、衿ぐりに伸び止めテープを貼っても大丈夫です。

では、衿ぐりを小さくしたい場合・・・つまり、着る時には伸ばす必要がある場合ですが、どのようにしたらよいでしょう?

まず初めに、おすすめしない衿ぐりの処理をお話しましょう。
それは、縫い代を単に二つ折りにして縫う、という方法。
衿ぐりはカーブしていて、伸びない生地では縫い代がつれてしまい、このように二つ折りにして縫う事は出来ません。
その点、伸縮性のある生地なら確かに縫い代の裁ち端部分を伸ばす事は出来ますから、二つ折りにできない事はありません。
しかし、縫い代を伸ばす時に、衿ぐりの出来上がり寸法まで伸びてしまいますし、出来上がってからも衿ぐりがどんどん伸びていってしまいます。

これはノースリーブの袖ぐりなどにも言える事です。
せっかく手作りするのですから、簡単そうだと言って、安易にこんな縫い方はしないでくださいね。

さて、伸縮性のある生地を、寸法通り伸ばさずに縫い、着用時には多少の伸び縮みができるようにする方法ですが、私が実際にやっている方法をご紹介しますね。

 

  1. あらかじめ少し伸ばしておいた共布を横地のテープ状にカットし、バイヤステープ代わりに見返しとして使う
  2. 1と同様の共布テープをパイピングテープとして使う
  3. 1と同様の共布テープを二つ折りにしてリブニット代わりに使う
  4. 共布で衿を作る

 

 

1.のばした横地テープを見返しとして使う

これは布帛の衿ぐりをバイヤステープで始末するのと同じ理屈です。
ただし、伸びない生地でできたテープでは着用時に伸びなくなってしまいます。
ですので、共布をテープとして使おう、というものです。

ただし、共布をそのまま使うと、縫う時に伸びてしまったり、出来上がってからも着用によって必要以上に伸び過ぎてしまったりします。
そのため、見返しとして使うテープは共布をある程度あらかじめ伸ばしておきます。
このようにすると、縫う時も衿ぐりを伸ばさず縫う事ができ、着用時もちょうど良い伸縮性が保たれる、というわけです。

では実際の具体例をご覧ください。

①身頃の衿ぐりは0.5~0.6cmの縫い代を付けて裁断します。その他の縫い代は1cm。

②共布を横地で2.5cmくらいの幅で粗裁ちします
③スチームアイロンをかけながら、軽く引っ張って伸ばします。


☆左が伸ばす前、右が伸ばした後
☆伸ばし加減は生地によりますが今回は1.4倍程度に伸ばしました

④伸ばしたテープを1.5cmの幅に切り揃え、片側をロック始末します
⑤身頃は右肩だけを接ぎます

⑥テープを中表に合わせて、縫い代幅(この場合0.6cm)で縫い付けます

⑦縫い代は身頃側へ倒し、テープは上に起こした状態にアイロンします

⑧左肩を接ぎます。


⑨テープは出来上がり線で裏側へ折り、アイロンします


⑩テープの端をステッチで縫い付けます

出来上がり(^^)/

 

2.伸ばした横地テープでパイピングする

 

共布テープの作り方は1番と同じですが、粗裁ちで4cm幅にカットし、伸ばした後にテープ幅を3cm幅に切り揃えます。
身頃の衿ぐりは出来上がり線でカット(縫い代なし)。
テープを接いだ後のアイロンの仕方が違うので注意してくださいね。

 

①右肩を接いだ身頃の衿ぐりにテープを中表に合わせ、0.8cmの幅で縫い付けます。

②衿ぐりは倒さず、テープだけを上側に起こし、アイロンします

③右肩を接ぎます

④テープは身頃の衿ぐりをくるむようにして裏側へ折り、しつけをします


☆①の縫い目より0.3~0.5cm被るくらいがちょうど良いです。
☆テープの幅が足りない場合、大きすぎる場合はテープの幅や①の縫い幅で調節してください

⑤表側から①のテープのきわに落としミシンをかけます

☆落としミシンはゆっくりひと針ずつ丁寧にかけましょう
☆落としミシンがうまくかけられない方は、テープの端を表にひびかないようにまつり縫いか星止めでも良いです

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この二つの方法は両方とも衿が付かない場合の衿ぐりの処理の仕方です。
縫い幅やテープの幅などはお好みで変えて頂いて構いません。

1番の見返しタイプの方は、衿ぐりの縁が縫い目になっているので、出来上がりの型崩れがしにくいです。
縫い方もあまり難しくありません。
伸びてしまいやすい生地の場合は、この方法がおすすめです。
ただし、出来上がりの衿ぐりはあまり伸びませんので、狭くし過ぎないように注意してください。

一方、パイピングタイプは縁は縫い目ではないので、見返しタイプより衿ぐりを伸ばして着る事ができます。
見た目もソフトな感じです。
ただし伸びやすい生地だと衿ぐりが伸び過ぎてしまう場合があります。
また、落としミシンが多少難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

二つの方法は生地の性質や好みで使い分けてください。

 

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さて、残る3番、4番は衿付きのデザインです。
(3番のリブニットタイプも衿の一種です)
次回はこちらの具体的なやり方について解説していきますね。

それではまた~(#^^#)

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