こんにちは~(^^)/
ずいぶん久しぶりの更新になってしまいました(;^ω^)
ところで・・・
先日、教室の生徒さんから質問がありました。
前身頃の脇線からバストポイントに向かって入る「バストダーツ」。
「縫ったダーツは上向きに倒す」というのは基本のキだと長年教えているわけですが、生徒さんの持っている本には「下向きに倒す」と書かれているとのこと。
で、ホントはどっちに倒すんですか?・・・と。
何~!そんなウソを書いている洋裁本があるのか???
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そもそも、ダーツとは、前身頃では胸のふくらみを立体的に表現するのが目的であり、後身頃では肩甲骨のふくらみに対応するためのツールです。
平面の布を身体の前面に置いた場合、バストの頂点(バストポイント)が山の頂点とすると、それより低い位置では布が浮いてしまい、身体に沿ってくれません。
そのため、低い位置の余分な布を畳み平面の布を立体にすると、バストよりも低い位置にも布がフィットするようになる、というわけです。
具体的に言うと、バストポイントより上側のネックライン(衿ぐり)、横側のアームホール(袖ぐり)を処理するのが、いわゆる「バストダーツ」です。
バストダーツは主に袖ぐり線からバストポイントに向かっているタイプと、脇線からバストポイントに向かっているタイプがあります。
衿ぐりからバストポイントに向かうダーツというのはダーツ単体ではあまり見かけませんが、(デザイン的に美しくないから?)これは横方向のバストダーツに移動することができます。また、プリンセスライン(肩からバストポイントを通って裾までつながる縦方向の切替線)がある場合は、ダーツ分をラインに吸収させる、という方法があります。
バストダーツに対し、「ウエストダーツ」というものがあります。
ウエストダーツは縦に細長いひし形をしていますが、これはバストラインからウエストラインの高低差と、幅(横方向)の寸法差・・・いわゆる「くびれ」ってやつですが・・・の両方に対応しています。
ウエストダーツはバストポイントから下に向かってヒップラインあたりまで縦方向に入ります。
さて、このダーツの倒し方向ですが、バストダーツは上向きに、ウエストダーツは中心側に倒す、というのが一般的です。
ダーツ分を倒すと、そちら側の方が布が厚くなり、表面からみると少しですが「高く」なっているように見えます。
そのため、バストダーツの位置では上の方が高くなっていた方がバストがより高く見えるために上向きに倒すわけです。
もし下向きに倒すとなると、バストポイントより下の方がふくれて見えてしまう、ということになります。
ウエストダーツは中心側に倒す、というのも、どちらが高く見えたら美しいか?という観点です。身体の中心より脇の方が高くなっていたら変ですよね。
というように、ダーツの倒し方向というのは、なんとなく決まっているわけではなく、ちゃんと理由があるのです。
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とは言え・・・
生徒さんの本は間違いなく「バストダーツは下向きに倒す」と書いてあるそうなので、気になったので一応いろいろ調べてみました。
すると!
どうも昔の洋裁教室などでは下向きと教えていたようですし、私が持ってる古いB服装学院の教科書には明確な文章はありませんでしたが、イラストを見ると確かに下向きになっておりました。
既製服の世界では常識の「バストダーツ=上向き倒し」が、共通認識ではない、という事は驚きです。
下向きに倒す必然性?合理的な理由?を知りたいですよね・・・
まあ、洋服の決まりごとというのも単なる形式美(様式美)だったり、古い生活習慣やお国柄、文化から来ている事が多く、必ずしも合理的とは言えない部分もありますよね。
ましてや現代のファッションでは「なんでもアリ」ですからね。
で、結論を言うと、私はやはり「上向き」を推奨したいです。
下向きにする合理性が見つからないですから。
が、最終的には個人の判断で・・・身も蓋も無いか(;^ω^)
それではまた~(^O^)/