ニット生地とストレッチ生地 Part1

こんばんは〜(^O^)

最近はニットやストレッチ生地も種類が豊富になり、既製服でもそういった伸びる素材の服が増えましたよね。

こういった素材、昔は「縫いにくい」「難しそう」というイメージだったかもしれませんが、最近は比較的普通の生地と同じ感覚で縫える生地も多くなり、だいぶハードルが下がったように感じます。

伸びる素材を使う利点としては、

  • 着やすい
  • シワにならない
  • 身体に合いやすい
  • 洗練された雰囲気がある

といった事が挙げられると思います。
既製服顔負けのお洒落なニットが自分で縫えちゃうなら、洋裁の幅も広がりますよね?

このような「伸びる素材」、どんどんチャレンジしてほしいと思いますが、気を付けなければいけない点もいくつかありますので、今日はそれを解説していきたいと思います。

 

 

その1

ニット生地なのかストレッチ生地なのか確認する

 

この2つ、意外と区別がつかない方も多いと思います。

ニットとはその名の通り「編み地」。それに対し、ストレッチ生地は「織り地」です。
ニット生地が伸びるのは、伸びない毛糸がセーターになったら伸びるようになるのと同じ理屈です。編み目がループになっているので、編み糸は出来上がった生地の面積に比べて何倍もの長さが使われています。そのため引っ張ればその分伸びる、というわけですね。

一方、ストレッチ生地は横糸に伸縮性のある糸を使用しているため、糸自体が伸びるので、織り地であっても伸びるのです。
伸縮糸は極細の化繊糸だったり、天然素材でも強撚糸と言って、撚り(より)を強くかけている糸を使用している場合もあります。

見分け方としては、ニット生地は編み地構造なので、裁ち端がボサボサとほつれてくる事はありませんが、そのかわりクルンと丸まります。
生地の表面にはよく見るとメリヤス編みやゴム編みのような編み目があるのがわかります。編み物をされる方なら良くご存じだと思います。

それに対し、ストレッチ生地は織り地特有の裁ち端のボサボサが見られます。
端切れの裁ち端を爪で引っ張ってみると、ゴムのように伸びる糸が含まれている事がわかります。
この糸は鋏やロータリーカッターで切り残しやすく、切り残しが刃にひっかかって糸を引っ張ってしまう事があるので注意が必要です。

 

その2

生地の伸び方や方向を確認する

 

ニット地にしてもストレッチ生地にしても、伸び方にはそれぞれ差があります。
伸び率にも差がありますし、横方向だけ伸びる生地もあれば、縦横両方に伸びる生地もあります。
伸縮生地初心者なら、伸び方の少ない生地を選びましょう。
また、ロックミシンを持っていない方や、持っていても差動調整ができないロックミシンの場合も伸び率の少ない生地を選んだほうが無難です。

「2way生地」と呼ばれる、縦横両方に伸びる生地というのは伸縮生地に慣れた方以外は避けた方が無難です。
というのも、上衣なら脇や袖下、ボトムなら股下など、ミシンで縫う方向は地の目に沿った縦ラインが多いですよね。
家庭用のミシンで縦伸びする生地を縫うと、目飛びしたり、縫い目が踊ったようによろけてしまったりする事が多いのです。
既製服は専用の機械で縫うので、そういう心配はないのですが、同じように家庭で縫うのはそれなりの技術が必要です。
一方、横だけに伸びる生地なら家庭用のミシンでも比較的縫いやすいのです。

また、ニット生地はミシン縫いで伸ばしてしまうと、伸びたまま元に戻らない場合もあったりしますが、ストレッチ生地なら、糸自体に伸縮性があるので、伸ばして縫っても元に戻りやすい事が多いです。また、伸縮率もさほど大きくないので、初心者にも扱いやすい生地だと思います。

 

 

その3

ニット用のミシン針を使う

 

ニット用の針は「ボールポイント針」とも呼ばれていますが、針の先端が丸く加工されています。
編地は一本の糸から出来ていますので、間違って針の先で一ヵ所糸を切ってしまうと、そこからどんどん編み目が解けていって、生地に穴が開いてしまいます。
そのように編み糸を切ってしまわないように針の先が丸くなっているのです。

では織り地の場合はどうかと言うと、経糸、横糸それぞれたくさんの糸で織られているので、たとえ針の先で糸を切ってしまったとしても、そこから穴が広がってしまう、という危険が少ないのです。
そういう意味で言えば、理屈としては編み地ではないストレッチ生地ならニット用の針を使わなくても良い、という事になりますが、実際縫ってみると、普通針だと伸縮糸に引っ掛かって、電線したようになってしまう事もあります。
伸縮糸はふわふわと膨張した形状になっているため、針の先に引っ掛かりやすいのかもしれません。
ストレッチ生地であってもニット用の針を使った方が安心だと思います。

 

 

その4

地縫いミシン糸はニット用の糸を使う

 

伸縮生地を縫う場合は、ナイロン製のニット用ミシン糸を使いましょう。
糸自体に若干の伸縮性がありますので、普通にミシンで縫っても、縫い目が多少伸びてくれます。
出来上がった服を脱ぎ着する際に、引っ張ったり伸ばしたりすると、ニット用ではない糸で縫った場合、糸が切れてしまう事あります。
伸縮生地を買ったら、一緒にニット用糸も揃えておいてくださいね。

 

その5

ロックは普通のロック糸で良い

 

ロック糸として売られている糸ははたいていは90番のポリエステルスパン糸ですが、ロック糸売り場には「ウーリーナイロン」という伸縮性のある糸が売られています。
伸びる生地にロックをかける時はこの糸を使わなくてはいけないのでしょうか?

いいえ、普通のロック糸で大丈夫です。

なぜかというと、ロックの縫い目は編み目のようにループ構造になっているため、伸びない糸を使っても、ある程度縫い目は伸びるからです。
特に地縫いをしてからオーバーロックをかける(裁ち端の処理の目的で)場合、先述のニット用糸で縫った地縫い以上にロックの縫い目が伸びる必要はありません。

また、ニットソーイング教室などに行かれた方はご存じかもしれませんが、ロックミシンで地縫いと縁かがり縫いの両方を一遍にやってしまう方法もあります。
この場合は4本ロックミシンを使いますが、こういう場合でも、ウーリーナイロン糸は使いません。
むしろ地縫いに相当する左2本は強度が必要なため60番糸を使い、かがりに相当する右2本は通常の90番ロック糸を使います。

よくわからずに、ニット地を縫うなら全部の糸をウーリーナイロン糸にしなければいけないと思って、3本も4本も買ってきてしまった、なんて話も聞きます(;^ω^)

ではウーリーナイロン糸はどういうい時に使うのでしょう?

オーガンジーやジョーゼットなど衣装系の極薄生地の端の始末に「巻ロック」という極細のかがり縫いをしますが、その場合のかがり糸として使います。
ウーリー糸を使うと、しなやかできれいな仕上がりになるのです。
ただしこの場合でも、ウーリー糸を使うのは1本だけです。

余談になりますが、このウーリーナイロン糸、伸縮性はかなりありますが、強度が低いので注意が必要です。

既製服などでまれに見かけますが、地縫いの下糸にウーリー糸を使っている場合があります。
たしかに上下糸をニット用の糸だけで縫うより伸縮性が上がるのは確かですが、着ているうちに、ウーリー糸だけが切れてしまうのです。
先日も実家の母から修理を頼まれたニット服、下糸に使われていたウーリー糸が何ヵ所もブツブツと切れてしまっていました。
こういう使い方は絶対におすすめしません。

 

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ニット生地やストレッチ生地について基本的な事について解説してきましたが如何でしたでしょうか?

次回は地縫いやロックなど、伸縮性の生地をミシン縫いする時のコツなどについて解説していきたいと思います。

それではまた~(^^)/