布の目線で考える

こんばんは(^^♪

この仕事を結構長くやっていますが、「布の扱いって難しいなぁ」とつくづく思います。
一言で「布」と言っても、実に様々。
同じデザインの服を作っても、生地が変われば全く違った雰囲気になったりします。

特にドレスの仕事では、布に表情を付けるためのデザインがよく用いられます。
ドレープ、プリーツ、ギャザー、フリル・・・
こういった作業は布の特性をよく見極めながらやらないと上手くいきません。

その布がいったいどんな性質なのか、どうしたがっているのか、どうやったら言う事を聞いてくれるのか・・・
その事を常に考えながら、その時々の状況に対処する事が求められます。

試しに子育てに例えてみましょう。
子どもに勉強をさせようと思った時、どんな手を使いますか?

  • ひたすら強く言う
  • おやつでつる
  • ほめまくる
  • 塾に入れる

あまり良いたとえではありませんね(笑)

ともかく、同じ子でもいつも同じ方法でうまくいくとは限りませんよね?
ましてや兄弟となると、まったく正反対の性格だったり。
時にはその子の年齢や性格、状況によって対処方法を変えないといけません。

布の扱いもそれと似ているような気がするのです。
とっても素直に言う事を聞いてくれる子もいれば、強情っぱりの子、プライドの高い子、へそ曲がりな子・・・
布たちの性格も実に様々です。
こちらが思ったように布がおさまってくれない時には、何か理由があるのです。
向かわせる方向が悪いのかもしれないし、強引すぎるのかもしれない。
見えないところでつまずいているのかもしれない。
案外、前段階での自分の処置が悪かったためにその結果を招いていた、なんていう場合もあったりします。

目の前にある物、それが結局は答えなんですよね。

そう言う私も未だに試行錯誤の連続です。
一つの工程に何日も悩んだりする事もあります。
でも、逆にそれが洋裁の面白さだとも言えるんですよね。

布との共同作業がうまく行っている作品は、見ただけですぐわかります。
どこにも無理がなく自然で、それでいて布が活き活きとしている、そんな風に感じます。
逆に、力ずくで仕上げた作品は、表面的には体裁が保たれているように見えますが、どこか不自然だったりします。
布のエネルギーが押さえつけられているというか・・・
それは「はた目」にはわからなくても、実際に「それを着る人」は間違いなくそれに気が付くはずです。

つまり「布」「作り手」「着用する人」の三者の気持ちがぴったりと合った服、それこそが最高の服だと言えるのかもしれませんね。

洋裁でつまずいた時、
***布の立場に立って目の前で起きている事を冷静に考えてみる***
これをぜひ習慣にしてみてくださいね(*^^*)

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