シニア世代にやさしい服

こんばんは(^o^)

洋服の好みって人それぞれですよね。
素材感、色、シルエット、ディテール・・・
10人いたら10通りの好みがある、と言っても過言ではありません。

オーダーのお客様の中には80代の方も結構いらっしゃいます。
皆さん、昔からのお得意様ですが、つい最近こんな話を伺いました。

普段着用のズボンを買いになじみの洋品店に行くと、ファスナー付きのズボンが置いてなくて、全部ウエストがゴムになっているズボンばかりで困った、との事。
店主の方が問屋さんに問い合わせてくれたそうですが、メーカーの方でシニア向けのズボンは最近はゴムウエストの物しか作っていないそうです。

少し前まではウエストベルトの一部(両サイドとか)だけがゴムになっていて、前ファスナーあき仕様のズボンはいくらでもありましたよね?
なんでそれが無くなってしまったんでしょうね?
縫製の手間を省いた結果なのか・・・
サイズ展開するコストを省いてフリーサイズにするためなのか・・・
そもそも最近の既製服は全般的にシンプルな作りになっているので、その影響なのか・・・

それにしても、なぜこの方はファスナーのズボンが欲しかったのだと思いますか?
ゴムウエストのズボンは一見シニア世代の方にもラクなデザインだと思いますよね?

でもそうでもないのです。

ゴムウエストのズボンは履いている間は確かにらくちんです。
でも履く時やトイレでの上げ下ろしの時が問題なんです。

想像してみてください。
ズボンのウエストを自分のお腹のところまで引っ張り上げた後、下着のシャツの裾をズボンの中に入れたいと思っても、シニアの方は(人によっては)背中の部分まで手が届かないのです。

ではファスナーあきの場合はどうでしょう?
ウエストが大きく開いていますから、最初から下着の裾をズボンの中に入れた状態でスボンを引き上げる事ができるのです。
じゃあ、ゴムを最初から大きく開いて履けばいいんじゃない?と思うかもしれませんが、シニアの方にはそんな握力も力も無いのです。

聞いてみれば確かに納得ですよね?
私も40肩の時、洋服や下着の脱ぎ着に困った事を思い出しました。
それがずっと続いている、と思えばそれは確かに不便に違いありません。

実は私がこのような話を耳にしたのは初めてではありませんでした。
他のシニア世代のお客様からも既製品のズボンのゴムが硬すぎて、それを伸ばして履くのに毎回苦労している、という話を伺った事がありました。

きっと言わないだけで同じような思いをされている方もたくさんいらっしゃることでしょう。
とはいえ、この「ゴムズボン問題」は、価格競争の先にあるコスト削減や効率化という企業努力なのかもしれませんし、メーカーを単純に責める事は出来ません。
むしろその奥にあるアパレル業界の問題点・・・昨日の投稿にも通じる事ですが・・・それこそに目を向けるべきなのかもしれませんね。

だからこそ私たちのようなオーダー職人がそこを補完すべく、さらにきめ細やかな心配りの仕事をしていかなくては、と思いを新たにした出来事でした。

ところで、皆さまの中にはご高齢のご家族がいる、という方もいらっしゃると思います。
もうすぐ「母の日」もやってきますよね?

毎年何をプレゼントしようか悩んでいる、という話も耳にします。
洋裁の得意な皆さまなら、何か手作りしようか・・・と考えてらっしゃるかもしれませんね。
そんな時こそ、お母さまの好みや日常に想いを馳せてみる良い機会だと思います。

意気込んで大作を作らなくても、市販の物をプレゼントするのでも構わないと思います。
ただし、そのままではなく、お母さまが使いやすいようにちょっとだけカスタマイズするとか・・・
何か自分なりの心遣いをプラスできれば良いですね。

大丈夫!まだ時間はあります!!
では皆さまのご健闘、応援しておりますよ~(^O^)/

 

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