洋裁のプロが解説!使いやすいアイロンとは?

洋裁に欠かせない道具。いろいろありますが、ミシンの次に重要なのがアイロンです。

 

私は工業アイロンを使い始めて20年くらいになります。下の写真は私が実際に使用している直本工業の業務用アイロンです。かなり塗装も剥げ、年代を感じさせますが、バリバリに現役です(^▽^)/

 

工業用を使う前はいろいろなアイロンを試しました。

洋裁のアイロン作業は日常生活のアイロンかけとは少し違います。
一般的なアイロンの目的が「衣類のシワを伸ばす」という事であるのに対し、洋裁のアイロンはもっと色々な役目があります。

・地直し(生地の地の目を整える)
・接着芯・伸び止めテープなどの「貼り」作業
・縫い代を割る・倒す
・くせとり(生地を部分的に伸ばしたり、縮めたりする)
・仕上げ

このように洋裁で使うアイロンには独特な使い方があります。
したがって、アイロンに求める性能も少し違ってきます。
そこで、私が考える「洋裁アイロンを選ぶ条件」をあげてみたいと思います。

 

 

それでは、これから一つずつ解説していきますね。

 

① コード付きを選ぶ

洋裁には前述した「芯貼り」など、一定時間、温度と圧をキープしなければならない作業もあります。芯貼り作業は通常、必要なパーツをまとめて行いますので、コードレスでは途中で温度が下がってしまい、接着芯がしっかり貼れません。
洋裁では温度管理が大切です。最適な温度をキープするためにもコード付きを選びましょう。

 

 

② オート・オフ機能はいらない

「オート・オフ機能」とは、一定時間アイロンを使用していないと、自動で電源が切れる機能です。使い終わっても電源を切り忘れて火災になったりする危険を防止するための安全装置でもあります。けれど、これが洋裁ではかえって使いづらい原因となります。

「オート・オフ機能」が付いている代表的なアイロンに「ティファール」があります。(一部この機能が付いていないモデルもあります)説明書によると、

  • アイロンを寝かした状態で30秒経過
  • アイロンを立てた状態で8分経過

この場合、自動で電源が切れるようになっています。

私の経験から言うと、アイロンを8分使わないでいると、電源が切れる、というのはかなり不便ではないか、と思います。実際私の場合、仕事の間中アイロンの電源は入れっぱなしです。使いたい時にアイロンが冷たくなっていたら作業ははかどりません。
オート・オフ機能の有無を事前に仕様書などで確認しておきましょう。

 

③ 「ドライ」より「スチーム」アイロン

私はほとんどのアイロン作業でスチームを使います。
縫い目がピシっと仕上がるのです。
スチームを使った時と使わなかった時とでは仕上がりが確実に違います。
一方で「霧吹き」を使えば、スチーム機能は要らない、という方もいらっしゃるようです。
これは意見が分かれるところかもしれません。

ドライアイロンには「かけ面がフラットである」という利点があります。(この点は④で解説します。)
ただし「霧吹き」を使う事には欠点もあります。
実際、私も昔ドライアイロンと霧吹きを使っていた時期もありました。
その経験から言うと、シルクなどデリケートな生地ではよほど細かい霧でも生地にシミを作ってしまう場合もあるのです。
また、いちいちアイロンのたびに霧吹きを使うのも作業効率が良いとは言えません。
一長一短ありますが、スチームアイロンには欠点を上回る利点があると思います。

 

④ かけ面は平らで先細り

これは③でもふれましたが、かけ面が平らなアイロンをおすすめするのは、接着芯を貼る時にムラなく均等に貼れるからです。
かけ面にはスチーム孔があったり、メーカーによってスチームを循環させるためのくぼみがあったりします。
接着芯を貼る時、その孔やくぼみの部分は力が伝わらず、貼り方があまくなってしまうのです。それを防ぐために、少しずつアイロンをずらしながら、かけ面の平らな部分がまんべんなく接着面をカバーするように貼っていきます。この際、平らな面の面積が大きい方が効率的に芯貼り作業ができるという事になるのです。
また、かけ面の「先細り」が良いのは、ポケットなどの部分縫いなど、アイロンの先を使って繊細な作業をする場合に、狭い部分にもアイロンの先が届いてくれるからです。

 

⑤ 重いアイロンが良い

洋裁のアイロンには前述した「くせとり」のように生地を立体的に形作る造形的な要素もあります。伝統的なテーラーの職人さんは時には重いアイロンにさらに体重をかけてアイロンをかける時もあるそうです。私たちの洋裁はそこまでではありませんが、ある程度の力や圧が必要な時もあります。特に④でもふれましたが、接着芯を貼る場合は、アイロン上から押し付けるように貼っていきますが、重いアイロンはその手助けになります。

 

⑥「チタン」または「セラミック」コート

アイロンのかけ面は工業アイロンを除いて、ほとんどの物が滑りをよくするためのコーティングを施しています。「フッ素樹脂コーティング(テフロン加工)」は比較的安価な機種のほとんどで採用されている方法です。この「フッ素樹脂コーティング」は剝がれやすいのが欠点です。
コーティングの剥がれや、引っ掛かりは生地を傷めてしまう可能性があります。私も経験がありますが、特に薄地のシルクやキュプラの裏地などは些細なことでも傷が出来てしまいます。それを防ぐにはアイロンかけ面が傷みにくい物、滑りの良い物を選ぶ必要があります。
その点、「チタン」は強度も高く、摩擦も起きにくいと言われています。
同様にセラミックも強度が高く、耐熱性も優れています。

 

 

では、以上の点をふまえて、実際におススメの機種をご紹介していこうと思います。
なお、今回は工業用と呼ばれているクラスのアイロンは除外しました。
趣味の方、セミプロの方向けに手頃にお求めになれるものに絞ってご紹介していきます。

 

 

 

東芝 コード付き スチームアイロン TA-C40-L

こちらはコード付きアイロンでは数が少なくなった、カセット給水式です。
かけ面は耐久性のあるシルバーチタンコート。
最大の特徴はスチーム孔が少なく、フラットな部分の面積が大きい点です。


重さは0.95kgと軽めです。もう少し重量が欲しいところですが、「重いアイロンは苦手」という方には使いやすい商品だと思います。

 

 

 

 

DBK スチーム&ドライアイロン J80T

こちらは信頼のドイツ製アイロンです。
デザインのレトロ感も人気です。

特徴は何といっても1.5kgという重さ。この重量感が洋裁アイロンに向いているのです。
スチーム孔も上部にまとまっていて、かけ面の下半分はフラットになっています。


ただし、コーティングは「フッ素樹脂加工」です。
洋裁アイロンに多機能を求めない方にはシンプルで使いやすい商品だと思います。

 

 

 

ティファール コンフォートグライド FV2691J0

こちらは品質に定評のあるティファールのアイロンです。
ティファールのアイロンは数多くの種類があり、それぞれに特徴があります。
ほとんどのモデルは「オート・オフ」機能が付いていますが、前述の通り、洋裁には不向きです。
その点、このコンフォートグライドにはそれが付いていません。

重さは1.3kg。重すぎず、軽すぎず、洋裁アイロンとしては最適な重さと言えます。
スチームは通常スチームに加え、必要な時にレバーでジェットスチームを発射する「トリガータイプ」。レバーがこの位置にあると握りを変えずに発射できるので、連続使用にも便利です。

また、かけ面は「特殊セラミック加工」が施されています。耐久性も申し分ありません。
形状も先細りで、細かい作業にも適しています。


ティファールは大容量のジェットスチームを売りにしているため、スチーム孔が開いている面積が大きく、平らな部分は下1/3のみとなります。
もう少しフラット面があれば言う事がありませんが、総合的に見ればかなり高性能なアイロンです。

 

 

 

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というわけで今回、洋裁用として使いやすいアイロンについて解説致しました。
また次の機会に「ティファール  コンフォートグライド FV2691J0」について、実際に使った感想など詳しく解説していきたいと思います。

 

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