こんにちは!
今まで洋裁道具中心の話をしてきましたが、今日は本命の「ミシン縫い」についてお話してみたいと思います。
タイトルの「左手が命」。
とっても大事な事なのに、なぜかあまり知られていません。
以前はミシンを新しく購入すると、ミシン屋さんが直接家まで届けてくれて、使い方の説明をしてくれたものです。
(今はコロナの影響でなかなか出張してもらえないみたいですが)
その際、
「ミシンが勝手にまっすぐ縫ってくれるから、左手は添えるだけで大丈夫。」
というような事を言われませんでしたか?
確かにマスクぐらいの小さい物を縫っているだけならそれでも良いかもしれません。
でも、面積の大きい布になればなるほど、左手が「超」重要なのです。
私は生徒さんに教える際、言葉で表現しにくい時には実際に縫ってみせる事がありますが、ある時こんなことを言われました。
「先生が縫うと、布が紙みたいですね!」
そう!
「左手が重要」
「布を紙のように縫う」
これがミシン縫いの基本なんです。
ではそれをこれからご説明しましょう(^^)
皆さん、「紙」と「布」の違い、わかりますか?
たとえば方眼用紙。
四つの角の一つをつまんで持ちます。
紙の向きは変わりますが、紙の形も、方眼の形も変わりませんよね。
では、同じような方眼のマス目を描いた布を同じように持ったとします。
布の形も、マス目の形も変形します。
これは重力によって布に下方向への力が働くために、地の目が歪んだ結果です。
家庭用ミシンの場合、布を置く面(テーブル面)は机より少し高くなっています。
縫うのはたいてい布の右端ですから、布のほとんどの部分はミシンの左側にあるわけです。
テーブル面に乗りきらない布は当然、重力の影響を受けます。
縫い始めではほとんどの部分が手前下側に引っ張られるわけです。
一方、縫う部分(押さえの下)には「送り歯」という物があって、布の右端は強制的に向こう側へ送られて行きます。
その結果、布は右前と左後に引っ張られ、先ほどのマス目を描いた布と同じような歪みが生じます。
地の目が歪んだままミシンをかけるとどうなるのでしょう?
地の目の歪みがミシン目によって固定されて、布に本来と違う流れができてしまいます。
「なんだかわからないけど、縫い目のきわがプクっと膨らんでしまう。」
「1cmの幅で縫っていたのに、いつのまにか太くなっちゃう。」
「丸い衿ぐりを縫ったら、身頃がなんだか曲がっている」
こんな経験された方も多いと思いますが、これは地の目の歪みによる事が多いのです。
ではそうならないためにはどのようにしたら良いのでしょう?
はい、ここで「左手」の出番です!
送り歯の進行速度に合わせて、同じように左側の布たちを左手で送っていけば良いのです。
その時に布の地の目を歪ませない事。
「紙」のような状態にキープする事が重要です。
左手の指でしっかりと2枚の布をテーブル面に押し付けながら滑らせるように向こう側へ送っていきます。
布の面積が大きければ大きいほど、これは大変な作業になります。
軽く添えている程度では布の重力に対抗することはできません。
仕事でロングドレスやずっしりと重いロングコートなどを縫う場合は、左手を開いて、すべての指、手首、肘まで使って布を送っていきます。
ある意味肉体労働です^^;
また、バイヤス方向に縫う時には、地の目もバイヤス方向に伸びやすいので、元の地の目を崩さないよう、左手の置き場所や力を入れる方向、右手と左手のバランスなどを考えながら縫う必要があります。
どんな生地であれ、常に「地の目」の感覚を持って、「紙のように縫う」という事を意識してみてください。
そういう気持ちを持つだけでも、縫いあがりが断然変わってくるはずです。
また、家庭用ミシンの腕が上がるアイテムとして、こちらの別売り品をお使い頂く事をおススメします。
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- ワイド補助テーブル
- フットコントローラー
ワイド補助テーブルは、テーブル面を延長できる、取り外し可能な補助テーブルです。
布が平らになる面が増えるため、地の目も整えやすくなり、縫いあがりのクオリティも上がります。
左手もずいぶん楽になりますよ。
フットコントローラー(ペダル)も極力お使い頂きたいアイテムです。
たいていの機種は別売りになっていますが、標準装備にしてもらいたいくらいです(-ω-)/
スタート、ストップの操作ももちろん、スピードも自在にコントロールできるので、大事な瞬間に慌てずにすみます。
ボタン操作に慣れてしまっている、という方も、だまされたと思って使ってみてください。
※ワイドテーブル、フットコントローラーとも、必ずお使いの機種に適合する物をお求めください。
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今日はミシン縫いの基本についてお話しました。
ミシン縫いには他にもコツや裏ワザが色々あります。
これからもご紹介していきますね(^^)/
2 Replies to “ミシン縫いは「左手が命!」”
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